2005 Fiscal Year Annual Research Report
歴史学習における数量的資料及び数量的表現に関する指導法の開発研究
Project/Area Number |
16530595
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
吉川 幸男 山口大学, 教育学部, 教授 (40220610)
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Keywords | 歴史学習指導 / 数量的資料 / 歴史教科書 |
Research Abstract |
研究実績は、以下の3点に概括することができる。 1.歴史学習における数量的資料の活用事例に関する現状分析 本研究は単に数量的資料の歴史学習における活用法を孤立的に解明することを目的とするのではなく、学習指導要領の変遷と歴史教育実践の中で常に問題化してきた「人物中心の歴史学習」との対比的関係のもとに現状をとらえ、数量的資料活用を意義付けることを目的としている。このため、特に「人物中心の歴史学習」との対比において、1980年代以降の数量的資料活用の諸理論・諸実践のもつ歴史学習論的意義と検討課題を明らかにした。 2.内外の歴史教科書における数量的資料の取扱いの現状分析 日本の中学校歴史教科書(8社分)と米国の若干の中等歴史教科書を対象とし、そこにおける数量的データ資料の機能と、そので学習者に想定されている「読み方」を分析した。 その結果、数量的資料には二つの機能があり、一つは、人々の日常的な生活環境へ学習者の追究を方向付ける「具体化」への機能、もう一つはその時代の社会構造やシステムへ学習者の追究を方向付ける「構造化」「一般化」への機能であること、日本の歴史教科書に掲載された数量的資料は、「具体化」よりも「構造化」「一般化」への機能が意識された資料が多いことが明らかになった。 また、数量的データの「読み方」に関しては、数量的資料から読み取る事実は階層的に2段階のものがあり、一つは、個別の情報そのものに関する事実であり、もう一つはそれら個別の情報から全体的な傾向へと集約した包括的事実であること、個別の情報のみを読む数量的資料は主に学習の動機付け機能を担い、包括的事実のみを読む数量的資料は主に事実確認の機能を担うことが明らかになった。 3.上記の現状を踏まえて可能な学習指導事例の開発 近隣の実践者に協力・助言を得て、現実的な指導方策として可能な仮説的学習指導モデルを開発した。
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