2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヨハネス・イッテンの芸術教育における理念と方法-日本との接点をふまえて-
Project/Area Number |
16530601
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
金子 宜正 高知大学, 教育学部, 助教授 (20263965)
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Keywords | ヨハネス・イッテン / バウハウス / イッテン・シューレ / 竹久夢二 / 自由学園 / 構成教育大系 / 水越松南 / 禅 |
Research Abstract |
本研究では、欧州各地に点在するヨハネス・イッテンに関連する資料や作品等について、未公開の資料を中心に調査研究を行なうとともに、研究書籍や入手困難な資料の複写を行なった。欧州での調査をふまえ、国内に所蔵されている同時期の関連資料の調査を行なった。ヨハネス・イッテンの芸術学校、イッテン・シューレで1930年代に行なわれた竹久夢二や水越松南による日本画の授業について、私はこれまで徐々に明らかにしてきた。今回の国内外における研究調査により、これまで知られていなかった、夢二による日本画講習会でイッテン・シューレの学生たちが描いた墨絵作品を調査することができた。また、イッテンの芸術教育における墨絵の位置付けを明らかにした。イッテン・シューレの学生の授業作品についての調査により、イッテンの芸術教育の方法が具体的により明らかとなった。イッテンが記した膨大な日記帳(未公開のものを含む)を調査した結果、陰陽学や易学への興味、禅思想及び墨絵への探究に関する記述等を発見し、イッテンがこれらに興味を持っていたことが明らかとなった。 国内では、2005年に宇都宮美術館発行の『ヨハネス・イッテン造形芸術への道論文集』に私の研究論文が掲載された。 海外では、2005年から2006年にドイツで開催されている「ヨハネス・イッテン-ヴァシリー・カンディンスキー-パウル・クレー、バウハウスと神秘思想」展覧会の関連企画として、2005年12月にドイツのハム市、グスタフ・リュプケ美術館で行なわれた国際会議に私は招待され、「ヨハネス・イッテンと禅」と題して英語で講演を行なった。この国際会議では、ベルリンのバウハウス資料館館長をはじめ、欧州の第一線のバウハウス研究者が研究発表を行なった。尚、この国際会議には、ヨハネス・イッテンの御子息(チューリッヒ大学教授)・御息女(パリ・ソルボンヌ大学教授)も参加した。
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