2006 Fiscal Year Annual Research Report
ロービジョン児の読書行動の獲得過程ならびに発達過程に関する研究
Project/Area Number |
16530615
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柿澤 敏文 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 助教授 (80211837)
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Keywords | ロービジョン / 通級指導 / 拡大教科書 / 文字サイズ / 読書チャート / 近見視 / シミュレーション |
Research Abstract |
研究1:筑波大学附属盲学校小学部では、各地域の小学校に在籍している視覚に障害のある児童に通級による指導を行っている。1日2時間程度、見えない・見えづらいことによって生じる状況を補うために、通級指導担当者が児童の在籍校を訪問し、相談や教材・教具の紹介などの情報提供を行っている。本研究では、これらの情報提供の中で適切な拡大教科書の文字サイズを把握して支援を行うために、2種の読書チャートを用いて読みやすい文字サイズの評価を行った実践を取り上げた。測定の結果得られた文字サイズと評価前に児童が用いていた文字サイズとの比較を行い、適切な文字サイズを検討した結果、環境が整っている盲学校で読書チャートを用いて測定すると小さい文字まで読み取ることができるが、通常学習している在籍校ではやや大きめの文字が必要になる傾向が認められた。すなわち、児童が日常的に学習する環境での評価の重要性が再認識された。 研究2:弱視者の中には、極めて短い視距離で文字を読んだり、書いたり、作業する者がいる。短い視距離での見え方とはどのようなものなのかを把握し、指導をする際に役立てるために、近見視についてシミュレーションレンズを作成した。シミュレーションレンズの作成には、小さい穴を空けたプラスチック板を使用した。シミュレーションレンズの穴は直径約0.5mmであり、この穴から見える中心視野は、約20°あるいは約15°であった。見え方の特徴としては、極めて小さい穴から見るため、ピンホール効果により、通常よりかなり短い視距離をとっても文字などがピントの合った状態で確認できた。視距離約2〜3cmまで近づけて物や文字を見ることができ、手元の暗さや視野の状態などがより実態に近い状態でシミュレーションできたと考える。一方、完全なシミュレーションは不可能であり、見え方の一部をシミュレートしているに過ぎない点など、留意が必要である。
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Research Products
(2 results)