Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊福部 達 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (70002102)
井野 秀一 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (70250511)
金澤 貴之 群馬大学, 教育学部, 助教授 (50323324)
牧原 功 群馬大学, 留学生センター, 助教授 (20332562)
黒木 速人 東京大学, 先端科学技術研究センター, 科学技術振興特任教員(特任助手) (00345159)
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Research Abstract |
本研究では,「音声同時字幕システム」による情報保障を遠隔地から利用しつつ,聴覚障害学生の隣に中間支援者を設けることを提案し,実際の障害学生への支援に試行的に利用しながら,当事者にとって,快適に講義が受けられる支援体制モデルを提案することを目的として,本年度は以下の点について実施した。 [研究1]字幕の理解しやすさについての分析1 1)音声認識の誤認識により生じた日本語のエラーについて,聴覚障害者にとって,元の意味の類推がしやすいものと困難なものの質的な違いについて字幕ログデータをもとに分類作業を行った。 2)1)の結果に基づいて,聴覚障害学生に音声同時字幕システムによる字幕を元にした呈示刺激を作成し,誤認識の元の意味の類推のしやすさに関する実験を実施した。 その結果,1)語のつながりが変化した誤認識は,聴覚に障害のない学生にも聴覚障害学生にも同じように推測が難しいこと,2)音素変化を含む誤認識は,聴覚障害学生の方が推測が困難であること,3)語のつながりにも音素にも変化を与えない,いわゆる同音異義語については,両者共に比較的推測が容易であることが示唆された。 [研究2]字幕の理解しやすさについての分析2 誤認識のない字幕であっても存在する字幕の分かりにくさについて検討を行うため,字幕ログデータをもとに,分かりにくさを伴う箇所を抽出し,その原因となる要因について分類した。 その結果,その要因として,1)話し言葉そのものに文法的なエラーが内在されている(しかし音声で聞いている際には気にならない)こと,2)話し言葉に含まれている,アクセント,ポーズ,イントネーションといった韻律的要素が,文字化した場合には消失してしまうことが考えられた。 [研究3]学内スタッフによる復唱作業の実施 システムの簡略化,ローコスト化の実現のために,修正作業を行う中間支援者だけでなく,復唱作業者も学内スタッフで実施するようにシステムを構築した。近接した場所に復唱ルームを設けることで,インターネットを介することなくLANが構築でき,トラブルが発生した場合の対応もスムーズに行えるメリットがあることが確認された。
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