Research Abstract |
Vを3元2次形式のペアのなすベクトル空間とする.群G=GL(3)×GL(2)はVに作用して,(G,V)は概均質ベクトル空間になる.この概均質ベクトル空間は,D.J.Wrighと雪江によって,体の4次拡大と密接に関係することが知られている.もっと詳しく言えば,その半安定有理点の有理同値類と体の4次拡大がほとんど一対一に対応する.これに対して,その半安定整数点の有理整数環上の同値類の研究はこれからの課題である.これについて,二つの研究対象がある.一つは有理整数係数の3元2次形式のペアのなす格子V_Zであり,もう一つは有理整数係数の3次対称行列のペアのなす格子V^^^_Zであり,これは自然にV_Zの部分集合とみなせる.V^^^_Zの半安定点の有理整数環上の同値類の集合G_Z\V^^^^<SS>_ZはJ.Moralesによる結果から,3次体のイデアル類群の2-torsion部分群と密接に関係することがわかる.一方,これまで,V_Zの半安定点の有理整数環上の同値類の集合G_Z\V^^<SS>_Zについては,何も知られていなかったが,本研究により,これは4次体に含まれる整環の同値類の集合とほとんど一対一に対応することが証明された.この結果は現在,学術論文として投稿準備中である.また,nを0でない整数とするとき,基本相対不変式Δの値がnであるようなV^<SS>_Zの点の集合,およびV^^^^<SS>_Zの点の集合をそれぞれ,V^<SS>_Z(n),V^^^^<SS>_Z(n)と表し,対応する4次体の実素点の個数がr_1,虚素点の個数がr_2であるものを,(V^<SS>_Z)_<r_1,r_2>(n),(V^^^^<SS>_Z)_<r_1,r_2>(n)で表す.そのとき,4次体のガロア群がS_4,A_4,D_4,C_4,V_4の場合に,それぞれ,G_Z\(V^<SS>_Z)_<4,0>(n),G_Z\(V^^^^<SS>_Z)_<4,0>(2^8n)G_Z\(V^<SS>_Z)_<0,2>(n),G_Z\(V^^^^<SS>_Z)_<0,2>(2^8n)G_Z\(V^<SS>_Z)_<2,1>(n),G_Z\(V^^^^<SS>_Z)_<2,1>(2^8n)の同値類の個数の間に,大野予想のような関係が成り立つかどうかについて研究中である.
|