2005 Fiscal Year Annual Research Report
流体関連の方程式の解の正則性に関する数値解析的研究
Project/Area Number |
16540103
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大木谷 耕司 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (70211787)
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Keywords | 磁気流体力学方程式 / Euler-Lagrange定式化 / 磁気リコネンクション |
Research Abstract |
磁気流体力学では、理想的な場合には磁力線が凍結保存される。わずかな散逸効果により磁力線のつなぎ替えが起き、これは宇宙物理学やプラズマ研究の分野で重要な現象である。しかし、そのつなぎ替えの起きる時間スケールを現象論的に評価すると、実際の現象より過大な評価になること知られている。 このファスト-リコネクションを解明するために、Euler-Lagrange定式化に基づく磁気流体方程式の数値実験の結果を行った。今年度は特に、からみあったドーナツ状の磁束管を初期条件にとり、つなぎ替えの数値計算を実行した。その結果、リコネンクションが起きる際、粘性拡散を伴う流体粒子のラベルAと空間座標xとの対応が可逆でなくなること(リセット現象)を確認した。そのリセットの時間間隔から磁気リコネクションが起きる時間スケールを抽出し、これが大局的な評価より小さいことを見いだした。この意味で、本定式化が、このような配置を持つ磁気流体の問題についてもつなぎ替えの特徴づけに有効であることを実証した。また、磁場の可視化により粒子ラベルのリセット現象(det(∇A)が小さな値をとる領域)とつなぎ替えが起きる磁場の空間構造との対応づけ行った。 また、理想的な磁気流体力学においては、Beale-Kato-Majda流の正則性判定基準は、もし時刻Tで解の爆発が起きるならば ∫^T_0(‖ω‖_∞+‖J‖_∞)dt→∞ となることが知られている。(Caflisch et al.1997)ここでω,Jは各々、渦度、電流である。この基準が、流体場と磁場の双方の最大値ノルムを含むのはElsasser変数を用いて速度、磁場を対称/反対称化した形の方程式を用いて解析を行ったためである。理想流体の場合、磁場は凍結場であることは周知であるが、もう1つ隠れた凍結場が知られている。(Vladimirov-Moffat 1995)ここでは、この2番目の保存法則を考慮すれば、磁場Bが正則であれば、MHD方程式の解に爆発は起きないことを明らかにした。 主に研究代表者が数値解析を、海外共同研究者(シカゴ大学P.Constantin)が数学解析を受け持ち、両者で結果の解釈を議論した。
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Research Products
(6 results)