2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540107
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坂元 国望 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40243547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三村 昌泰 明治大学, 理工学部, 教授 (50068128)
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Keywords | 遷移層 / 界面 / 球対称 / 反応拡散系 / 反応拡散対流系 / 界面方程式 / 分岐 / 安定性解析 |
Research Abstract |
1.N-次元球状領域におけるActivator-Inhibitor型反応拡散方程式系を、Activatorの拡散が遅く、Inhibitorの拡散が早い場合の特異極限系を考察した。領域形状と同じ対称性(球対称性)を持つ遷移層平衡解の存在を示した。Inhibitorの拡散係数が大きい場合には、この遷移層平衡解が漸近安定であることを示した。Inhibitorの拡散係数を小さくしていくとき、球対称解は不安定化して対称性の低い解が分岐することを示し、この分岐解が安定であることを示した。この現象は、界面方程式系に対するチューリング不安定性に相当すると考えられる。Inhibitorの拡散係数をさらに小さくしていくと、球対称性よりは対称性が低いが安定分岐解よりは対称性の高い解が、球対称解から次々と分岐していくことを示した。 2.N-次元球状領域におけるActivator-Inhibitor型反応拡散方程式系を、Activatorの拡散が遅く、Inhibitorの拡散がオーダー0(1)場合の特異極限系を考察した。球対称遷移層解の存在を示した。この解は、非常に不安定である、すなわち、不安定指数がActivatorの拡散係数のマイナス1/2乗に比例することを示した。さらに、分岐解の界面に沿った特徴的な波長は、Activatorの拡散係数の1/2乗に比例することを示した。Activatorの拡散係数が小さい特異極限を考えているので、無限に細かいモード(球状界面に垂直方向に遷移層を持ち、界面に沿って細かい波長を持つ解)が球対称遷移層解から無限回分岐するという現象を明らかにした。高次元空間におけるパターン形成現象においてこのような結果を得たのは、この研究が最初である。 3.N-次元全空間において、双安定型反応拡散対流系を考察し、解の大きな空間パターンの長時間挙動を、特異極限系の観点から捉えて、パターンの空間的特長を記述する界面の運動方程式を数学的に厳密に導いた。特に、対流項と反応項が対称性を持つ場合の界面方程式においては、対流効果が特異極限においては界面の幾何学的の特徴(曲率)を含む効果として反映されることを示した。これは、1階の微分作用素である対流項が特異極限においては、曲率という2階微分作用素に姿を変えるという点において、著しい結果である。
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Research Products
(3 results)