2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540107
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坂元 国望 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40243547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三村 昌泰 明治大学, 理工学部, 教授 (50068128)
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Keywords | 遷移層 / 界面 / 漸近解析 / 特異極限 / Lyapunov-Schmidt法 / 極小曲面 / 楕円型偏微分方程式 / 変分法 |
Research Abstract |
活性因子・抑制因子型反応拡散系において、活性因子の拡散が抑制因子の拡散に比べて非常に小さい場合に、活性因子場に内部遷移層を持つ解が存在することを、特異極限解析・漸近展開法とLyapunov-Schmidt縮約法を用いて証明し、さらに、その安定性を決定する簡便な指標を導出した。この結果は、従来の存在定理が適用できない範囲の反応ダイナミクスに対しても適用できるように、拡張された結果であり、用いられた手法も従来の手法と比べて単純明確化され、実用的な面での使いやすさが特徴である。定理の適用範囲が広がり手法も簡略化された理由は、遷移層の漸近展開を行ったあと特異極限系を導出する際、Lyapunov-Schmitd法を適用したことによる。この方法に従えば、従来の方法で特異極限系を計算する時に仮定されていた条件が必要でないことが分かり、結果として、見通しも良く適用範囲も広い定理が得られた。 3次元空間の滑らかな境界を持つ有界領域におけるAllen-Cahn方程式の特異摂動問題に対して、領域境界と交わる遷移層の存在を示し、その遷移層の安定性を判定する基準を界面と領域境界の幾何学的な条件として提示した。まず、領域境界と直交し領域内に置かれた極小曲面が、その曲面上のLaplace-Beltrami作用素のある種の第三種境界条件の下での固有値問題が0固有値を持たないという意味で、非退化であるとする。このとき、Allen-Cahn方程式の拡散係数が十分小さければ、この極小曲面を界面とする遷移層解が存在することを証明した。また、この遷移層解の安定性は、界面である極小曲面上のLaplace-Beltrami作用素の固有値の分布によって決定されることを証明した。このとき、第3種境界条件の項に領域境界の幾何的情報(曲率)が関与しており、安定性と領域境界の幾何を結びつける役割を果たしていることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)