Research Abstract |
{X_<ij>;j=1,・・・,n_i, i=1,・・・,k}は互いに独立で,各X_<ij>は平均がμ_i,分散σ^2の同一の連続分布関数F((x-μ_i)/σ)をもつ多群モデルを扱った。μ_iとσは,未知パラメータとする。平均の一様性の帰無仮説H_0:μ_1=・・・=μ_kの検定,位置パラメータの点推定について正規理論に基づくパラメトリック法,順位に基づくノンパラメトリック法,M統計量に基づくセミパラメトリック法の間の比較を,多くの分布F(x)について,漸近理論により調べた。とくに,漸近効率も,t分布や混合正規分布について具体的な数値実験は行われていないのでこれを行なった。また,計算機シミュレーション実験により,小標本での特長も調べた。分布F(x)の手法の長短を基に,分布探索の統計量を導入し,これをつかってパラメトリック手法,ノンパラメトリック手法,セミパラメトリック手法のいずれかを選択する新しい統計手法を提案した。つぎに分布探索によるこの統計手法が,これまでの3つのパラメトリック法,ノンパラメトリック法,セミパラメトリック法よりも検出力,平均自乗誤差と効率において安定していることを,漸近理論と計算機シミュレーションによって示した。 多重比較のモデルへの分布探索による理論を構築するための第1歩として,k個の平均μ_1,・・・,μ_kの順位を用いた多重比較法を提案した。順位による手法はこれまでに提案されてきたが,アルゴリズムが複雑のため普及していない。この研究ではテューキー,ダネット,シェッフェ型について,アルゴリズムがこれまでよりはるかに容易な手法を提案し,漸近分布を求め,漸近理論とシミュレーションにより推測方法の良さについて解明した。
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