2007 Fiscal Year Annual Research Report
力学系に伴うPerron-Frobenius作用素の固有値と疑似乱数に関する研究
Project/Area Number |
16540121
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
森 真 Nihon University, 文理学部, 教授 (60092532)
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Keywords | エルゴード理論 / Perron-Frobenius作用素 / スペクトル / low discrepancy / 疑似乱数 |
Research Abstract |
2004年4月より2008年3月の4年間にわたり,エルゴード理論とくに力学系に対応するPerron-Frobenius作用素のスペクトルの研究を行ない,とくに力学系を用いて構成する疑似乱数の性質を研究した.その方法は力学系に対応する生成関数を定義し,その再生方程式を構築することである.この再生方程式は行列で表現され,行列の成分の収束半径の逆数がPerron-Frobenius作用素のessential spectrum radiusになり,この行列式の0点がPerron-Frobenius作用素のスペクトルになることを示せる.これにより,力学系のエルゴード性を判定できる.このPerron-Frobenius作用素のスペクトルに関する研究を発展させて,力学系の作るフラクタルの次元研究やrotation numberに関する研究についても応用することができた. low discrepancyである高次元の疑似乱数は,確率積分やその応用である数理ファイナンスの発展とともに近年,重要性が増してきている.しかし,本研究では高次元の力学系に対応するPerron-Frobenius作用素のスペクトルについては,形式的な形での表現しか得られていない.そのことから,1次元の疑似乱数の構成は,理論的な完成された形を得ることができているが,高次元の場合には,限られたモデルにについて,応用ができたにすぎない.実際,low discrepancy sequenceは未だに3次元までの構成しかできていない.これを一般の次元についても構築し,さらにdiscrepancyに関する一般論を構成することが今後の重要な課題の1つである.
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Research Products
(6 results)