2005 Fiscal Year Annual Research Report
グラスマン多様体上の調和解析とラドン変換および逆問題解析への応用
Project/Area Number |
16540136
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
筧 知之 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (70231248)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平良 和昭 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (90016163)
竹内 潔 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (70281160)
木下 保 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 講師 (90301077)
守屋 克洋 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助手 (50322011)
照井 章 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助手 (80323260)
|
Keywords | ラドン変換 / 積分幾何 / 逆問題 / 調和解析 / フーリエ解析 / パフィアン |
Research Abstract |
2005年度は、マトリックスラドン変換について研究を行った。なお、これはアメリカ合衆国タフツ大学のフルトン・ゴンザレス氏との共同研究に基づくものである。 (1)問題設定。Mknにより実k×n行列全体の成す空間を表す。そして、xi[F,B]により、XF=B^tを満たす実k×n行列からなるMkn上の超平面を表すとする。ここで、Fはm×nスティーフェル行列で、Bはk×k行列である。このようなxi[F,B]全体からなる多様体をXi(m,n)と表すことにする。すると、Mkn上の関数を超平面xi[F,B]上で積分すという操作は、Mkn上の関数をXi(m,n)上の関数に移すという変換を定める。この変換をマトリックスラドン変換と呼び、R=Rkmと書くことにする。 (2)問題の背景。このマトリックスラドン変換は、通常のn次元ユークリッド空間k-planeラドン変換の一般化になっている。そして、k=n-1の場合にモーメント条件によるラドン変換の像の特徴付けが成り立つように、k=mとなるとき、即ち、dim Mkn=dim Xi(m,n)となるときは、E.E.Petrovによる研究があり、ある種のモーメント条件による像の特徴付けが知られている。一方、0<k<n-1のとき、k-planeラドン変換に関して、source manifoldの次元<target manifoldの次元となり、この場合は、別の特徴付けが必要となる。そして、実際、この場合はパフィアンと呼ばれる2階の微分方程式系の解空間として特徴付けられることが知られている。それでは、マトリックスラドン変換でsource manifold Mknの次元<target manifold Xi(m,n)となる場合(これはk<m<nと同値ナ条件である)はどのうような微分方程式系の解空間としてRの像が特徴付けられるのか。これが本研究の出発点となる問題意識である。 (3)得られた結果。Xi(m,n)上のk+1段の微分方程式系でパフィアンのある種の一般化と見なせるものを具体的に構成し、かつ、マトリックスラドン変換の像が、それら一般化されたパフィアン型微分方程式系の解空間として特徴付けられることを示した。これは、k=1の場合における、John, Gelfandのグループ、Gonzalez達の結果の自然な一般化となっている。また、target manifoldであるXi(m,n)にはリー群G=O(n)×o(m)×Mm nが作用するが、上記の微分方程式系はGの作用で不変な方程式系であることも判明した。 上記の研究成果をInvariant Differntial Operators and the Range of Matrix Radon Transformsという題名の論文としてまとめ、現在投稿中である。
|
Research Products
(1 results)