2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540148
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹井 義次 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (00212019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 達也 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80324599)
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Keywords | 高階パンルベ方程式 / 完全WKB解析 / インスタントン型形式解 / Birkhoff標準形 / 野海・山田方程式系 / 仮想的変わり点 |
Research Abstract |
「本年度の研究実施計画」では、本年度の具体的な目標として、(i)高階パンルベ方程式に対する自由パラメータを含んだ(インスタントン型)形式解の構成、(ii)そうした形式解に対する構造定理の確立、の2つを挙げた。このうち、(i)のインスタントン型形式解を構成することに成功した(現在論文を準備中)。実際の構成は、2階の場合に用いたHamilton系のBirkhoff標準形への変換を利用する方法を、高階方程式にまで拡張することによりなされる。すなわち、まず方程式をHamilton系の形に表現した上で、そのBirkhoff標準形への変換を特異摂動的に構成する。Birkhoff標準形に対しては解が明示的に求まるので、これにより高階パンルベ方程式の形式解が構成されたことになる。今のところ形式解の構成が完全に確かめられたはI型高階パンルベ方程式の階層に限られるが、Birkhoff標準形への変換の存在は一般的な状況で示されたので、他の高階パンルベ方程式についても(Hamilton系の形に表現することさえできれば)形式解の構成は達成されたと考えられる。この研究成果を、平成17年7月に京都大学で開催された国際研究集会「Algebraic Analysis of Differential Equations」等で報告した。 さらに、付随するLax pairのサイズが大きい高階パンルベ方程式の典型例である野海・山田方程式系のStokes幾何の解析について、本多尚文(北大理)氏を中心に共同研究を開始した。まだ最終結果には至っていないが、Lax pairの仮想的変わり点やnew Stokes curveが果たす役割を、「tree構造」といったグラフ理論的な言葉を用いて表現及び解釈できることがほぼ明らかになった。 今後は、高階パンルベ方程式の接続問題を具体的に解くために、今回構成に成功したインスタントン型形式解に対する構造定理の確立、特に第2種の変わり点における解析が、重要な課題となるであろう。
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Research Products
(5 results)