Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相川 弘明 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20137889)
古用 哲夫 島根大学, 総合理工学部, 教授 (40039128)
町原 秀二 島根大学, 総合理工学部, 助手 (20346373)
松永 秀章 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 講師 (40332960)
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Research Abstract |
1.p-Laplacianをもつ非線形微分方程式のすべての非自明な解が振動するための十分条件やすべての非自明な解が振動しないための十分条件を与えた。得られた成果により,この方程式の振動問題に関する数多くの先行研究を大きく改良できた。その秘訣は,Riccati techniqueと呼ばれる従来からよく使われる手法と,この方程式に同値な方程式系に対する相平面解析法を併用したことにある。また,それらの結果を用いて,ある楕円型方程式の振動問題を詳論した。 2.線形微分方程式においては,解の定数倍も解になり,異なる解の和も解になることがよく知られている。この2つの性質のうち,前者だけをもつ方程式を半分線形微分方程式(half-linear differential equation)と呼び,近年,半分線形微分方程式の関する研究が盛んである。半分線形微分方程式の比較定理として,Sturm型やHille-Wintner型が有名であるが,本研究では,どちらの型にも属さない比較定理を与えた。また,これらの比較定理を合わせて用いれば,数多くの半分線形微分方程式の解の振動・非振動を判定することができることを示した。 3.半分線形微分方程式において,時間遅れをもつ摂動項が引き起こす振動現象について考察した。これにより,時間遅れが解の振動性に促進効果を及ぼすための条件や抑制効果を及ぼすための条件を明確にした。 4.Lienard方程式系は,適当な変数変換によって,自然科学や工学に現れるモデルに書き換えられることがよく知られている。そのため,多くの研究が行われている。本研究では,p-LaplacianをもつLienard方程式系を対象に,極限閉軌道(limit cycle)が存在するための十分条件を与えた。主な手法はこの方程式系に対する相平面解析とPoincare-Bendixsonの定理である。この方程式系はp=2の場合に従来のLienard方程式系に対応しており,数多くの先行研究を包含している。 5.Lienard方程式系にhomoclinic軌道が現れるための十分条件や必要条件を導いた。また,それらの結果を利用して,Gause型被食者・捕食者モデルにもhomoclinic軌道が現れることを示した。
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