2004 Fiscal Year Annual Research Report
確率モデルのスケーリング極限の観点から見た対称群の表現の漸近理論の研究
Project/Area Number |
16540154
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
洞 彰人 岡山大学, 環境理工学部, 助教授 (10212200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 裕史 岡山大学, 理学部, 教授 (40192794)
村井 浄信 岡山大学, 大学院・文化科学研究科, 助手 (00294447)
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Keywords | 対称群の表現 / 表現の漸近理論 / 量子確率論 / 確率モデル / ヤング図形 / 自由確率論 / ラプラシアンのスペクトル / 相互作用フォック空間 |
Research Abstract |
対称群の表現におけるいろいろな特性量が群のサイズを大きくするにつれてどのような漸近挙動を示し、極限の描像として何が浮かび上がってくるかについて、確率論や統計力学におけるスケーリング極限の観点からアプローチを行うのが、本研究の全体的な主旨であった。量子確率論の極限定理の方法を有効に活用するのが、本研究の1つの特徴と言える。今年度の研究成果は、おおむね次の事項にまとめられる。 1.距離正則グラフの重要な例であるジョンソングラフは、対称群の等質空間の構造を持っている。その上にギッブス状態を導入することによって、グラフの温度の概念を持ち込める。このようなグラフのスペクトル構造の漸近挙動は、確率モデルとしても、表現論的にも興味深い。グラフの次数と温度がある種のスケーリングを保ちながら変化する低温・無限体積極限において、ギッブス状態に関するラプラシアンのスペクトル分布の研究を行い、相互作用フォック空問上の生成・消滅作用素を用いた量子確率論の方法によって、漸近的なふるまいを詳しく計算した。なお、これらの成果を含む研究書を準備中である。 2.ヤング図形の極限形状の問題は、対称群の表現の既約分解における集中現象の1つの現れとみなされる。このような現象の解明には、ユツィス・マーフィー作用素の漸近的な性質の研究が有効である。主として組合せ論の方法によって、いろいろな表現が定める状態に関するユツィス・マーフィー作用素のモーメントの漸近的な解析を行い、確率論の極限定理の枠組の中で、表現の既約分解の集中現象を調べた。これは、対称群の表現の漸近理論と自由確率論とのつながりに深く関わっている。これらの成果については、数編の論文を投稿中および準備中である。
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Research Products
(1 results)