2005 Fiscal Year Annual Research Report
確率モデルのスケーリング極限の観点から見た対称群の表現の漸近理論の研究
Project/Area Number |
16540154
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
洞 彰人 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (10212200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 裕史 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (40192794)
村井 浄信 岡山大学, 大学院・文化科学研究科, 助手 (00294447)
佐々木 徹 岡山大学, 大学院環境学研究科, 講師 (20260664)
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Keywords | 対称群 / 表現 / 漸近挙動 / スケーリング極限 / 確率モデル / 自由確率 / グラフのスペクトル / ユツィス・マーフィー作用素 |
Research Abstract |
本研究の主旨は、確率論や統計力学におけるスケーリング極限の観点からアプローチすることにより、対称群とそれに類似した離散群の表現にまつわる諸量の漸近挙動を解析し、サイズを大きくしたときの極限描像を調べることである。本年度は、対称群の群環のいろいろな状態に関し、ユツィス・マーフィー作用素に対するモーメント解析と中心極限定理の手法を発展させた。それを用いて、対称群の表現の既約分解の漸近挙動の解析を行った。具体的には、ビアンの漸近的指標公式やリトルウッド・リチャードソン係数の集中現象などを扱った。ヴォイクレスクの自由確率論およびランダム行列とのつながりを重視した。対称群の表現の漸近挙動を扱うためのヴェルシック・ケロフのエルゴード的方法、およびイワノフ・オルシャンスキーの対称関数論的方法との関連性を見出した。これにより、無限対称群による環積型の群上の調和解析への道筋を見定めた。また、このような対称群の漸近理論と密接に関係するグラフのスペクトルの漸近解析においても、一定の結果を得た。グラフの大局的な構造と直交多項式のヤコビ係数および相互作用フォック空間とのつながりを定量的に調べ、興味あるグラフの実例を構成した。本研究に直接関係する研究がとりわけヨーロッパで盛んに行われている。研究代表者および研究協力者によるヨーロッパ訪問を含むさまざまな機会を通じたこれらの研究者たちとの活発な学術交流は、本研究においてたいへん有益であった。
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Research Products
(4 results)