2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540162
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
下村 宏彰 高知大学, 教育学部, 教授 (20092827)
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Keywords | 多様体 / 微分同相写像群 / ユニタリ表現 / 無限対称群 / 正の定符号関数 / 既約分解 / 端点分解 |
Research Abstract |
本年度は、ここしばらく続けてきた、多様体M上の微分同相写像の群Diff_0(M)のユニタリ表現からひとまず離れて、その関連分野について調べ若干の結果を得た。このあたりの事情についてまず説明する: 最近、Diff_0(M)のある表現と無限対称群のregular表現にかなり近い、ユニタリ表現とがdual pairをなしていることがわかってきた。事情は,有限次元でも同じで,別のDiff_0(M)の群の表現と有限対称群のregular表現に近いある表現とがdual pairになっている. そこで,微分同相写像の群の表現の捉え方を少し変えて,その応用的側面も問題にすべき時期にきているのではないかと思うようになった.例えば,無限対称群の解析,あるいはYoung図形の漸近的挙動の理論に目を向けて,それらを通して,Diff_0(M)の表現を考察し,意味のある関数等式を見出すこと,あるいは,逆に,Diff_0(M)の表現を通して無限対称群のregular表現を考察し,その既約因子のrealizationにapproachすること等が考えられる. 近年,この方面の基礎的準備もしてきたので,冒頭に述べたように、無限対称群Sの研究にE Thomaの文献"Die unzerlegbaren, positive-definiten Klassenfunktionen der abzahlbar unendlichen, symmetrischen Gruppen"から入った。さらに、いくつかの群S上のpositive-definite functionの端点分解に関する論文を読んだあとで、端点分解と既約分解の差異に注目した。 周知のように、正の定符号関数の端点分解は対応するユニタリ表現の既約分解を含み、なお、Choqetの定理による他の分解をも含んでいる。筆者は、いかなるタイプの端点分解が既約分解に対応するかを調べ、ひとまずの結果をえた。しかし得られた結果は未だ使い勝手が悪いので、より良い形に改良できるように現在、検討中である。 これらが順調に伸展すれば、無限対称群のregular表現の既約因子のrealizationも夢ではないと思っている。 尚、本年度に、以前、考察したDiff_0(M)のユニタリ表現の既約分解可能性を記した論文と、冒頭に述べたDiff_0(M)のある表現と無限対称群のregular表現にかなり近い、ユニタリ表現とがdual pairをなしていることを述べた論文が刊行された。
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Research Products
(2 results)