2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540166
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
磯崎 洋 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (90111913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筧 知之 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (70231248)
酒井 良 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70016129)
高桑 昇一郎 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10183435)
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Keywords | 逆問題 / ディリクレーノイマン写像 / シュレーディンガー方程式 / 電気インピーダンス法 / コンピューター トモグラフィー |
Research Abstract |
この研究の目的は3次元の物体の内部の電気伝導度を表面の電位を計測することによって求めようとするものである。特に表面の一部分での計測値から表面近くの内部の電気伝導度を求めることに主な関心がある。この問題はがん検診に重要な応用があり、また工学的にも多くの重要な応用をもっている。今年度はまず物体内の電気伝導度が一部分で不連続的に大きくなっている場合に、不連続部分の位置を特定する理論を完成させた。さらに数植計算アルゴリズムを構成するために2次元の長方形領域、半円形領域において数値計算を行い、満足すべき結果を得た。これらの成果は理論応用力学連合会で発表された。この理論の基礎になっているのは数学的には双曲空間の幾何学とその中のシュレーディンガー方程式のスペクトル理論とそれに関連する逆問題である。これらの双曲空間の中でのスペクトル逆問題の数学的理論は最近大きく進展をみせ、いくつかの成果をAmerican Journal, Contemporary Mathematics等の雑誌に発表した。これらの結果はユークリッド空間での逆問題に新しい証明を与えるものでもあり、双曲幾何学の現実世界への応用という意味においても大変興味深いものである。また原子核物理学で重要な光学模型に関する逆問題が一意的に解けるものであることを証明した。これも実際に行われている計算法に理論的根拠を与えたものである。多体シュレーディンガー方程式の散乱問題を数学的に解説する書物を刊行した。これは邦書では初めて出版された多体問題の教科書である。
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