2004 Fiscal Year Annual Research Report
時間遅れをもつ方程式に対する形式的随伴方程式とその応用
Project/Area Number |
16540177
|
Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
村上 悟 岡山理科大学, 理学部, 教授 (40123963)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 茂保 岡山理科大学, 工学部, 教授 (80122381)
濱谷 義弘 岡山理科大学, 総合情報学部, 教授 (40228549)
示野 信一 岡山理科大学, 理学部, 助教授 (60254140)
|
Keywords | 関数微分方程式 / ボルテラ差分方程式 / 相空間 / 安定性 / 概周期解 / スペクトル / 定数変化法の公式 / 解作用素 |
Research Abstract |
時間遅れをもつ方程式の典型例である関数微分方程式,積分微分方程式,ボルテラ差分方程式を中心に研究を行い,以下に述べる研究成果を得た. 1.バナッハ空間における周期的線形関数微分方程式に対し,相空間における定数変化法の公式を確立した.また,その公式を安定部分と不安定部分に分解し,その不安定部分が常微分方程式と同値になることを導いた.これらの応用として,有限次元空間における常微分方程式に対する周期解の存在についてのマッセラの定理を無限次元空間における関数微分方程式に対する概周期解や準周期解の存在に関する結果に拡張した. 2.バナッハ空間における可積分核をもつ線形積分微分方程式に対し,特性作用素のスペクトルの分布状況およびレゾルベントの可積分性によって解の漸近安定性の特徴づけを行った.また,応用として,概周期的摂動項をもつ方程式に対し概周期解の存在についての十分条件を与え,摂動項と解のボーアスペクトルの包含関係を与え,準周期解に関する存在定理を確立した. 3.非線形ボルテラ差分方程式に対して局所安定多様体,局所不安定多様体および局所中心多様体の存在を確立し,解の安定性の問題に応用した.また,線形ボルテラ差分方程式に対し,特性作用素のスペクトルとの関係でその零解の指数安定性の特徴づけを与え,区分的不連続な時間遅れをもつ偏微分方程式の安定解析に応用した.さらに,不安定部分に対応する方程式の解析を行うことにより,解の漸近挙動に関する結果を導いた.
|