2007 Fiscal Year Annual Research Report
楕円量子群及びD型変形W代数によるバクスターの8頂点模型の解析
Project/Area Number |
16540183
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白石 潤一 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 准教授 (20272536)
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Keywords | Macdonald多項式 / Koornwinder多項式 / 多変数超幾何級数 / 変形W代数 / バクスターの8頂点模型 / 可解格子模型 / 相関関数 |
Research Abstract |
(1)野海正俊氏との共同研究により、Koornwinderのq差分作用素に対する核函数を求めた。これは、以前に三町氏によって求められたものとは異なるもので、両者はパラメータの取り替え(及び分割の縦横の入れ換え)に関して双対的ふるまう。これらの核函数の応用として、分割が1列もしくは1行の場合のKoornwinder多項式の明示的公式が求められた。より一般の分割に対応するKoornwinder多項式についても、分割やランクなどが特殊な場合についていくつかのの明示的公式の予想が得られた。 (2)野海正俊氏との共同研究により、A型のルート系に付随するMacdonald対称多項式に対して知られている座標変数とスペクトル変数の間の双対性が、Macdonaldのq差分作用素の固有函数として定められる多変数超幾何級数の構造から自然に理解されることを示した。また、A型以外のルート系に対しても、同様な双対性があることが実験的に確認された。このような多変数超幾何級数は、本研究者の主な研究課題である8頂点模型の相関関数のプロトタイプであるゆえ、それに関する双対性の理解が進められたことは意義深いと考えられる。 (3)星野歩氏との共同研究により、A型ないしD型の変形W代数のフュージョン則からマクドナルド対称多項式のタブロー和公式が得られるという数理現象を見いだした。A型の場合には一般の分割に対する多項式が、D型の場合には分割が1行の場合に関して証明を与えることができた。D型の場合の証明は、現在のところ、上記項目(1)の明示公式(の一種)と、様々な超幾何級数の変換・和公式を用いるものである。今後、より一般の分割の場合、もしくは、フュージョン則の内在的な理解などの研究が進められるべきである。
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