2006 Fiscal Year Annual Research Report
周期軌道の安定化問題におけるタイムラグの影響に関する研究
Project/Area Number |
16540187
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
宮崎 倫子 静岡大学, 工学部, 助教授 (40244660)
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Keywords | 時間遅れをもつ微分方程式 / フロッケの理論 / 軌道安定性 / Delayed Feedback 制御 |
Research Abstract |
今年度中の実績は以下のとおりである. 1.時間遅れをもつ微分方程式において,「非退化周期軌道が,1より大きなフロッケ乗数を持つならば軌道不安定となる」という命題の証明を完結させた.ただし,周期軌道が非退化であるという前提を除いた場合については,今後の課題として残っている. 2.Delayed Feedback制御による安定化問題において,フィードバックゲイン行列が単位行列の実数倍という条件下で,昨年度はフロッケ乗数を計算するための方程式を未制御状態のフロッケ乗数を用いることによって具体的に表現することができた.その方程式を用いて,未制御状態のフロッケ乗数に1より大きなものが存在する場合,周期軌道は安定化不可能であることを証明した.周期軌道が安定化可能となるための条件や,フィードバックゲインの設定方法については,今後の課題である. 3.Pyragas(Pys.Lett.A,1992)が提示した,カオス状態のRossler方程式の周期軌道をDelayed Feedback制御にる安定化について,時間遅れを様々に設定して数値的に得られた安定な周期軌道の周期を数値的に求めることを試みた.その結果,Delayed Feedback制御がRossler方程式に対して,有効であるという確信が得られた.具体的な結果はまだ得られていないが,「時間遅れと安定周期軌道の周期との関係」という視点は今後研究を進めていく上で非常に重要であると考えている. 4.時間遅れをもつフィードバックが,解の漸近挙動(収束先)を変化させる方程式系の存在を証明した.さらに,その方程式系について相互作用行列という観点で,過渡的な挙動についても解析を行った.周期軌道の安定化問題との関連では,相互作用行列がフィードバックゲイン行列と結びつくのではないかと考えている.
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Research Products
(1 results)