2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540190
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
泉 正己 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80232362)
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Keywords | 作用素環 / von Neumann環 / KMS状態 |
Research Abstract |
作用素環への代数系の作用、特に非可換境界理論とE_0-半群の研究を行った。 前年度の研究を継続して、量子群の作用やCuntz-Pimsner環のゲージ作用のKMS状態の記述に現れる様々なモデルに対して、(非可換)Poisson境界の決定とその応用を行った。特に後者に関しては、Connes-TakesakiがIII型因子環に対して導入した概念である、flow of weightsを多くのモデルに対して具体的に決定した。flow of weightsはエルゴード分解により定義されるため、一般にその具体的記述は易しくない。 ヒルベルト空間Hの有界線型作用素全体B(H)はvon Neumann環である。B(H)の単位元を保つ自己準同型からなるワンパラメーター半群をE_0-半群と呼ぶ。E_0-半群はI型、II型、III型に分類されるが、I型以外のE_0-半群の構造は良く理解されていない。R.Srinivasanと共同で、互いにcocycle共役でない非可算無限個のIII型E_0-半群の例を構成した。これまでにそのような例としてはTsirelsonが構成したもののみが知られていたが、我々の例に対してはTsirelsonの不変量が自明になるため、彼の方法では区別できない。E_0-半群に対して、区間[0,1]の部分集合Uでパラメトライズされるvon Neumann環A(U)の族が定まり、cocycle共役に関する不変量となる。(上記の分類とは無関係に)von Neumann環はMurray-von NeumannによってI型、II型、III型に分類されているが、I型とII型のE_0-半群に対しては、A(U)としてはI型のvon Neumann環しか現れない。我々の構成した例では、A(U)がUの複雑さによりIII型になることがあることが示された。
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Research Products
(1 results)