2005 Fiscal Year Annual Research Report
幾何学的特異空間における調和写像のディリクレ形式による解析
Project/Area Number |
16540201
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
桑江 一洋 熊本大学, 教育学部, 助教授 (80243814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 幸雄 佐賀大学, 理工学部, 教授 (00037847)
塩谷 隆 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90235507)
大津 幸男 九州大学, 数理学研究院, 助教授 (80233170)
町頭 義朗 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (00253584)
市田 良輔 横浜市立大学, 国際総合科学部, 教授 (10094294)
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Keywords | ディリクレ形式 / 調和写像 / 劣調和関数 / 変分収束 / グロモフ・ハウスドルフ収束 / アレキサンドロフ空間 / 加藤クラス / 熱核 |
Research Abstract |
平成17年度は以下の研究をおこなった。 (1)京都大学理学研究科助手である太田慎一氏によって導入されたk-凸空間に値をとる写像に対してボン大学応用数学教室・教授・カール・セオドア・スツルム氏と共同でLiouville型定理の研究を行った。ここでkは2以下の正定数でありk=2のときが非正曲率空間いわゆるCAT(0)空間に相当するものである。不変シグマ加法族が自明になる保存的なMarkov連鎖が与えられた空間においてk-凸空間に値をとる写像に対し、自然な推移作用素が定義できる。この作用素で不変な写像を調和写像としたときに有界な調和写像が定値写像に限ることを示した。しかしながらこの結果はKendallがリーマン多様体の枠組みで示した「究極のLiouville型定理」を凌駕するには至っていない。ここでKendallの枠組みでは半球をtargetとする調和写像を含んでおり、半球はk-凸空間になり得ないことがわかっているからである。しかし、太田慎一氏が導入したk-凸空間はリーマン多様体にならない興味深い例を含んでおり。今後はこれらを包括する形で研究を進展させる予定。 (2)非常に良い正則性の仮定の下でマルコフ過程の(r,p)-容量0集合を除外集合とする加法的汎関数と測度の対応を確立した。また伊藤の公式の一般化である福島の分解公式を(r,p)-容量0集合を除外集合とする形で精密化する研究をおこなった。ここで(r,p)-容量とはr階の導関数がp乗可積分となる関数の(r,p)-エネルギーを土台とするもので通常の(1,2)-容量よりも細かいものである。 (3)東北大学大学院理学研究科・教授・塩谷隆氏と共同でアレキサンドロフ空間においてリッチ曲率が下に有界な空間の概念を導入し、リッチ曲率が非負のときに分裂定理が等長同形ではなく同相の形で成立することを示した。また副産物としてラプラシアンの比較定理が成立することを得た。今後は等長同形が成立することを示すのが目標であるが、現段階において技術上の様々な困難があり。証明を確立する見込みがいまだたっていない。
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Research Products
(4 results)