Research Abstract |
粘性双曲型保存則の方程式系の持つ非線形波の安定性の研究はひとつの中心的なトピックスである.その非線形波である粘性衝撃波,希薄波の安定性に関する1985年以来の研究代表者,分担者による研究成果が,松村-西原著「非線形微分方程式の大域解---圧縮性粘性流の数学解析---」として2004年7月に出版された.これによって,現時点で分かっていること,未だ未解決の問題として解明すべき問題の整理がなされとものと考えている.今後,連立系の方程式に対して,積分平均がゼロでない擾乱の場合の粕性衝撃波の安定性や粘性衝撃波と希薄波の重ね合せに漸近が予想される場合の証明が中心的な話題として残されている. 細密中の媒質の流れのように,粘性効果が摩擦による場合には,散逸波へ漸近することが予想され,実際いくつかの場合に研究がなされてきた.それらの研究から更に派生して,2階消散型波動方程式の解の時間発展と共に拡散現象として観察されるようになった.そのことから,半線型消散型波動方程式の解の挙動が,対応する半線型熱方程式とそれと同様となることが期待され,実際本年度の研究においても半線型項が吸収効果を持つ場合の解の減衰,漸近形が熱方程式のそれと同様となることが適当な仮定の下で示された.半直線上の初期値境界値問題に対しても,半線型項の指数の大きさに応じて,解の大域存在,有限時間内の爆発の現象を証明することができた.それらは論文としてまとめられ,前者は投稿中であり,後者は既に学術雑誌Nonlinear Analysisにおいて印刷中である.
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