2005 Fiscal Year Annual Research Report
中間赤外線高分散冷却エシェル分光器を用いた晩期型星周辺大気のラインサーベイ観測
Project/Area Number |
16540214
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平原 靖大 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (30252224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 建太郎 岡山大学, 理学部, 教授 (40158861)
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Keywords | 星間分子 / 振動回転スペクトル / 晩期型星周辺大気 / エシェル分光器 / イマージョングレーティング / 高分散分光 |
Research Abstract |
世界初のゲルマニウム・イマージョングレーティングを搭載した中間赤外線高分散分光観測装置ProtoIRHSを完成させた。これを受けて、前年度末より本年度前半に晩期型星周辺大気に存在する星間分子の振動回転スペクトルのラインサーベイ観測を行った。2005年2月下旬に、分光器を名古屋大学より国立天文台・天文機器開発実験センターに搬入し、分光器の動作確認を行った。その結果、分光用の主検出器である、512x412素子Si:As IBCアレイ検出器のセラミック製チップキャリアにひび割れが見いだされたため、この損傷した主検出器ブロックを取り外し、天文機器開発実験センターのカセグレンシミュレーター室にてIRHSの動作確認を進めた。幸い、真空排気系、2台のGM冷凍機の動作、エシェル分光器のクロスディスパーザー回転機構部のステッピングモーターによる駆動、およびスリットビューワー用256x256素子InSbアレイ検出器の動作が正常であることを確認でき、スリットビューワーを用いたK-band(2.2μm)の天体撮像観測に成功した。晩期型星・大質量主系列星を含むK-bandにおいて比較的明るい19天体の観測を行い、取得データからスリットビュワーの性能評価を行った。結像性能については、2.1arcsec(FWHM)の星像が得られ、天文機器開発実験センターにおけるシーイングが1.5〜3.0arcsecであることから設計値通りであることを確かめた。また、観測天体のフラックス測定から求められたスリットビュワーの効率は設計値の約50%であり、限界等級は7.1mag(1.0sec exp.time, S/N=10,seeing=1.0",N_<readout>=620e^-)と見積られた。これは、様々な分子が見出される典型的な晩期型星IRC+10216・CRL618・CRL2688・NGC7027の観測に充分な感度である。
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