2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540222
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
関井 隆 国立天文台, 太陽天体プラズマ研究部, 助教授 (20332158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴橋 博資 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30126081)
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Keywords | 太陽 / 太陽振動 |
Research Abstract |
平成16年度はNASA/ESAの科学衛星SOHO搭載のMDI(Michelson Doppler Imager)による、ドップラー速度場のデータに基づく解析を主として行なった。先ず、速度場データを球面調和展開係数の時系列として取得して、これを基に音波的モードのパワーの時間変化を、running window中のパワーを用いて計算した。次いで、モード間の相関係数を求めてその分布関数を計算した。モードのペアの選択は振動数の近いものだけでなく、ランダムな選択を含む色々なケースを試している。この際、球面調和関数が観測領域(半球面)だけでは直交しないことから生ずるモード間のパワーの洩れは、この種の解析には影響を殆ど及ぼさないことを確かめている。上記の結果、Roth(2001,ApJ,559,1165)の報告したような相関係数分布の非対称を確かに見出す一方で、負相関過剰はRothの結果に較べて少ないだけでなく、相関係数の分布自体が実はモード・ペアの振動数差に全くよらない、という結果を得た。これは、負相関過剰が太陽内部の流れを媒介とした、振動数の近いモード間の相互作用の結果であるというRothの解釈を否定する結果である。そこで、次のステップとして、ランダムな励起項と減衰項を持つ調和振動子モデルを使った解析を行なっている。結果はまだデータとの詳細な比較を許す水準に達していないが、相関係数の非対称分布と負相関過剰とはある程度再現できている。このモデルはノイズ項を含まないので、負相関過剰の主因が観測データに存在するノイズでないことは既に結論できる。観測的に、モードのパワーの分布関数はほぼボルツマン分布をしているが、高エネルギー側で過剰がある。これが統計的なゆらぎに過ぎないかどうかは、データ解析の詳細にも依存するので判断が困難であるが、この過剰をモデルに入れた解析を始めている。平成16年度の解析にあたっては、韓国慶北大学の張憲永博士の協力を得ている。
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