2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540254
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
比連崎 悟 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (60283925)
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Keywords | 中間子原子核 / π中間子原子 / カイラル量子異常 / θバリオン / η(958)中間子 |
Research Abstract |
原子核中におけるカイラル対称性の回復の情報を得られると期待されている系について、理論的に構造と生成反応の研究を行った。具体的には以下の様な成果が得られた。 1、η'(958)中性子原子核の構造と生成 カイラル量子異常に密接な関係を持つと信じられているη'中間子束縛状態の構造と生成反応を理論的に研究して、観測可能性を定量的に考察した。Spring8におけるγ線を使った核反応による観測が可能であるという理論的な予言を行った。η'の束縛系から電子異常の効果を観測するというアイディア及び、定量的な断面積の計算は世界初である。 2、(γ、p)反応による中間束縛系生成 ハドロンと原子核の束縛系を生成する実験手段としての(γ、p)反応の有用性を多くの系について系統的に調べた。具体的には、η、ω、σ中間子の系について、有効な反応であることが定量的に示された。 3、ハイパー核の構造と生成 5クォークからなると考えられているθバリオンが原子核に束縛されて、θハイパー核を形成する可能性が理論的に指摘されている。この束縛状態の構造と生成反応を理論的に考察した。この系に関しては未知の部分が多く、いくつかの作業仮説が必要であるが、生成断面積は実験的に観測可能な大きさを持つという結論を得た。 4、π中間子原子における残留相互作用効果 (d,3He)反応によって錫の原子核における深く束縛されたπ中間子原子は精密に観測されている。このデータから、カイラル対称性の回復に関する情報を定量的に得る際に、中性子空孔とπ中間子の間の残留相互作用の効果を見積もる必要がある。この大きさを理論的に計算し、実験誤差よりもある程度小さくなる事を示した。
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Research Products
(5 results)