2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540261
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Research Institution | Tsuru University |
Principal Investigator |
山本 安夫 都留文科大学, 文学部, 教授 (80124866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
元場 俊雄 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (90121863)
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Keywords | ハイペロン / ハイパー核 / ストレンジネス / G行列理論 / 有効相互作用 / 光学ポテンシャル |
Research Abstract |
我々の研究課題は、Nijmegen groupにより開発されてきたYN・YY相互作用模型に立脚し、G行列理論を用いて導かれるYN・YY有効相互作用を用いてハイペロンを含む多体系の構造に現れる相互作用の特徴を調べることである。 平成18年皮の研究による成果は以下の通りである。 1.Extended Soft Core(ESC)modelに基づくS=-2多体系の研究 ESC modelは、Nijmegen大学のRijken教授によって提唱され、我々との共同研究を通じて完成した新しいYN・YY相互作用模型である。S=-2状態におけるESCの重要な性質は、meson-pair項によるT=0 ^1S_0状態における強いΛΛ-ΘN coupling項の存在、および、axial vector mesonの導入によるT=0 ^3S_1状態の強い引力である。S=-2多体系の構造にESCの特徴がどのように反映するかを調べるために、ESCから有効相互作用(G-matrix interaction)を導出し、種々の構造計算に適用した。それらの結果は、来年度にも開始が予定されているJ-PARCでの実験の理論的基礎を与える。第一はESCに基づくダブルΛ核の研究である。ESCにおけるΛΛ相互作用は、唯一の信頼できるデータである_<ΛΛ>He^6のΛΛ結合エネルギーを良く再現するが、ΛΛ状態におけるΘ成分の混合は従来のOBE相互作用模型の場合よりはるかに強い。その性質が集中的に発現する系は_<ΛΛ>H^5(_<ΛΛ>He^5)である。t(h)+Λ+Λ的構造の基底状態とΘ^-(Θ^0)+α的構造の励起状態は、いずれも5粒子がs-shellに詰まっておりcoherentにmixingを起こす。ESCの場合、強いΛΛ-ΘN coupling項と強い^3S_1状態引力によるΘα結合という二つの要素の協同によって、非常に強く混合した状態が発現することが確かめられた。この結果に関する論文は投稿中である。第二はESCに基づくΘ核の研究である。実験的にはΘ核間相互作用は引力的であることが示唆されているが、多くの理論的相互作用模型は斥力的な結果を与える。それに対してESCは主に強いT=0 ^3S_1状態引力によって実験的示唆に見合う程度の引力を与える。我々は、ESCにより存在が期待できるΘ核の構造を系統的に調べた。ESCによる興味深い予言は、T=0 ^3S_1状態引力が特徴的に効く軽いΘ核(例えば_ΘHe^4)の存在である。この結果に関する論文は投稿準備中である(arXiv:nucl-th/0608074)。 2.ESCによる光学ポテンシャルの導出 核子-核散乱における相互作用(光学ポテンシャル)を核力から導出する研究は古くからなされてきたが、近年の実験的研究の進展を踏まえて新たなる展開が期待される。我々は大阪市立大学のグループと協力して、ESCのNN部分からG-matrix theoryを用いて光学ポテンシャルを導出し、核子-核散乱の解析を行った。実験データの再現性に関しては過去の仕事を超えており、興味深い結果が得られた。論文の作成準備中である。
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Research Products
(2 results)