2005 Fiscal Year Annual Research Report
広域空気シャワー観測用の低コスト学校アレイ装置の開発
Project/Area Number |
16540263
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
寺本 吉輝 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50163928)
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Keywords | 宇宙線検出器 / 高抵抗板検出器 |
Research Abstract |
観測装置の低コスト化の中心的役割を果たす,宇宙線検出用のガス封入型高抵抗板検出器(レジスティブ・プレート・チェンバー)のテストを昨年に引き続きテストチェンバーを用いて長期テストを行った.テストは二つの動作モード(ストリーマーモードとアバランチモード)について行った.ストリーマーモードでは信号の大きさが大きいので,チンバーの劣化を早める可能性が考えられるが,使用するガスがイソブタンの多い劣化が少ないと考えられるガスである.アバランチモードでは,使用するガスとしてテトラフルオロエタンが95%程度で,チェンバーの劣化を早める可能性が考えられるが,信号の大きさが小さいので劣化が少ないと考えられる.ストリーマーモードのテストチェンバーは1年間にわたり検出効率が95%程度を維持し,劣化はほとんど見られなかった.しかし,1年をすぎると検出効率が徐々に低下し600日目では90%程度まで低下した.これから推定して2年程度の寿命と考えられ,宇宙線検出器として実用化することは難しいと思われる.一方,アバランチモードのテストチェンバーは信号が小さく動作させるのは難しく,昨年度のテストでは3ヶ月くらいの寿命しか得られなかったが,その後チェンバーを改良し,1年間以上にわたり検出効率95%を維持している.そこで宇宙線検出器としてもちいるチェンバーをアバランチモードのもので作ってみた.テストチェンバーと本番用チェンバーの大きな違いは,大きさが4倍程度本番用のほうが大きいことである.本番用は信号電極が大きいため,ノイズが大きく,そのままでは使えないことがわかった.なお,ストリーマーモードとしては,問題なく動く.そこで,信号ピックアップ電極を6分割にして1つの電極あたりの容量を小さくし,ノイズを減らすことでなんとか信号が見えるようになった.この場合,アンプが6倍必要になり,コストを上げることになる.この本番用チェンバーを4台作り,戸外でチェンバーの雨風を防ぐ,ステンレス製の容器を作った.読み出し回路については機能の簡素化と安価なコンポーネントの使用で低コスト化を実現した.4台の検出器からの信号波高はマルチプレクスして1個の波高測定回路で測定できるようにした.また,宇宙線の到来時間を精度よく測定するGPS時計のための受信機は安価なものにおきかえ,コストダウンした.
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