2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540267
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
ベンツ ヴォルフガング 東海大学, 理学部, 助教授 (20168769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢崎 紘一 東京女子大学, 文理学部, 教授 (60012382)
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Keywords | ハドロン物理 / クォーク物理 / 核子の構造関数 / 核物質 / 媒質効果 / 原子核の構造関数 / 深非弾性散乱 / 高密度物質 |
Research Abstract |
平成16年度の研究実績は次の通りである: 1)クォークの有効理論を使い、先ず単独の核子のスピンに依存する構造関数を計算した。その際、核子中のスカラーダイクォーク相関の他に、軸性ベクトルダイクォーク相関も取り入れ、核子の静的性質を再現しながら実験データから求められたスピンに依存するクォーク分布関数も定量的に記述できた。その後、スピンに依存する構造関数に対する媒質効果を評価した。そのために先ず、軸性ベクトルダイクォークチャンネルも考慮しながら、核物質の状態方程式を作り上げた。スカラーダイクォークのみの場合と比べて、本年度の研究で得られた状態方程式は核物質の飽和性質をより現実的に再現できることが分かった。その後、物質中の核子のスピン構造関数を計算した。単独の核子の場合との比較から、媒質効果を評価し、「スピンに依存するEMC(European Muon Collaboration)効果」を定量的に予言した。その効果が、従来研究されてきた「スピンに依存しないEMC効果」よりも大きいと指摘した。現在、その計算結果を有限な原子核へ拡張し、計画中の加速器実験(スピン偏極の電子・原子核深非弾性散乱実験)にインパクトを与えることが可能になった。(論文リストNo.1-4) 2)核子をクォークとスカラーダイクォークの束縛状態と見なし、核子中の「非前方クォーク分布」を計算した。この非前方分布関数は電子・核子の深非弾性散乱における光子および中間子生成の反応で観測可能である。我々の計算でこの分布関数を予言し、他の計算や現在の実験情報との比較を行った。なお、この計算に媒質効果を取り入れることも可能なので、それについて現在検討中である。(論文リストNo.5) 3)高密度物質の状態方程式についての研究を行った。そのために、核子のクォーク内部構造を取り入れた通常の密度領域での核物質の状態と高密領域における「クォークカラー超伝導状態」と比較し、その間の相転移とスカラーダイクォーク相関との間の関係について調べた。(論文リストNo.6)
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Research Products
(6 results)