2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540277
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
望月 優子 独立行政法人理化学研究所, 加速器利用展開グループ, 加速器研究員 (90332246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間所 秀樹 独立行政法人理化学研究所, 加速器利用展開グループ, 加速器研究員 (60373370)
清水 鉄也 独立行政法人理化学研究所, 生体力学シミュレーション特別研究ユニット, 協力研究員 (00291922)
玉川 徹 独立行政法人理化学研究所, 牧島宇宙放射線研究室, 研究員 (20333312)
寺田 幸功 独立行政法人理化学研究所, 牧島宇宙放射線研究室, 研究員 (90373331)
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Keywords | 元素合成 / 元素の起源 / 超新星爆発 / rプロセス / ウラン元素生成 |
Research Abstract |
『元素の起源』-我々の身体をふくめ、目に見える世界のすべてをかたち作っている多種多様な元素が、宇宙の進化とともに、どこでどのように創造され、そして地球に存在するに至ったのかという根源的な問いかけ-に対して、人類はまだ明確な答えをもっていない。元素の周期表の原子番号26の鉄から、天然に存在する元素としてはもっとも重い、原子番号92のウランまでの元素については特によくわかっておらず、『物理学上、未解決の大きな11の謎』(米国ナショナル科学アカデミーの答申によるもので、今後の研究遂行が強く望まれるもの)のうちのひとつとされている。このウラン元素生成の有力な仮説として、超新星爆発とよばれる重い星の最後の大爆発によって人類にとっては未知の中性子過剰な核種が次々と生成され、それらがベータ崩壊することによって最終的にウラン元素が合成されたとする考えがある。この仮説を検証するためには、現実的な超新星爆発数値シミュレーションがつくりだす「環境」のもとで大規模な原子核反応ネットワーク計算を行う必要がある。また宇宙観測の分野とも連携をし、本当に超新星爆発がウラン元素生成の舞台となっているのかどうか観測的に特定することが重要である。 本年度は、特に元素合成の研究に必要な爆発後20秒程度まで直接適用可能な超新星爆発数値流体計算コードを開発した。このためニュートリノ反応の取り扱いや状態方程式の改良、さらにモデルスペースの境界条件の更新等を行った。また将来的に日本の天文衛星を用いてウラン元素生成過程に伴って生じる特有なエネルギーの核γ線を超新星残骸から検出可能かどうかを検討し、特定のケースについて期待が持てることがわかった。さらに超新星爆発モデルに制限をつけより信頼に足るシミュレーションに発展させるため、超新星残骸中のチタンやニッケル等の中重核種の生成量をX線によって観測する新しい方法を提案した。
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Research Products
(5 results)