2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540277
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
望月 優子 独立行政法人理化学研究所, 櫻井RI物理研究室, 加速器研究員 (90332246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間所 秀樹 独立行政法人理化学研究所, 櫻井RI物理研究室, 加速器研究員 (60373370)
清水 鉄也 独立行政法人理化学研究所, 生体力学シミュレーション特別研究ユニット, 協力研究員 (00291922)
玉川 徹 独立行政法人理化学研究所, 牧島宇宙放射線研究室, 研究員 (20333312)
寺田 幸功 独立行政法人理化学研究所, 牧島宇宙放射線研究室, 研究員 (90373331)
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Keywords | 元素合成 / 元素の起源 / 超新星爆発 / rプロセス / ウラン元素生成 |
Research Abstract |
鉄から天然に存在する元素としてはもっとも重いウランまでの元素についてはその起源がよくわかっておらず、物理学上の大きな謎のひとつとされている。このウラン生成過程を理解するために解決しなければならない大きな課題のひとつは,元素を生成する天体現象をつきとめることである.一般的には重力崩壊型超新星爆発とよばれる重い星の最後の大爆発によってウランが合成されたと信じられており,理論的シミュレーション研究が不可欠である.しかし超新星爆発説では,爆発がウラン元素合成に必要な十分に大きなエントロピー(核子あたりボルツマン定数を単位として200を越える程度)を与えなければならないが,現在までにそのような理論モデルはあまり報告されていないことが弱点である.本研究では,球対称爆発モデルを越えて現在主流である多次元(2次元)爆発数値流体シミュレーションによってウラン元素合成に有力な超新星爆発モデルを開発し,あわせて大規模な原子核反応ネットワーク計算を行うこと,また天文観測の分野とも連携し,本当に超新星爆発がウラン元素生成の舞台となっているのかを特定することにつながる研究を推進することが目標である。 理論研究の柱となる超新星の数値流体シミュレーションにおいては、本研究の開始前には最大でも10程度までしか上がらなかったエントロピーが,以下のアイデアを計算コードに丁寧に反映させることによって現在では200を越えるモデルを開発できた.これで世界にほとんどない元素合成に直接適用可能な理論モデルを開発したことになり,現在論文を準備中である.要は,ニュートリノ相互作用を通常用いられている近似をとらず低温・低密度領域まで拡張すること,中心に生じる原始中性子星の表面におけるショック加熱を考慮することであった.また観測との連携においては,X線天文衛星「すざく」に観測プロポーザルを提出し,現在採択審査中である.
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