2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540278
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
明楽 浩史 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20184129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴浦 秀勝 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10282683)
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Keywords | 量子ホール効果 / 非線形伝導 / 理論 / 熱流体力学 |
Research Abstract |
平成16年度に、量子ホール系の電子温度と電気化学ポテンシャルの時空間変動を記述する熱流体力学理論を局所平衡仮定のもとで非線形領域も含めて構築した。今年度はこれを応用して以下の計算を行った。 1.圧縮性・非圧縮性帯領域をもつ量子ホール系における電子温度分布と電流分布 電流に垂直の方向の電子温度分布と電流分布を、緩やかに空間変動する閉じこめポテンシャルをもつ長い量子ホール系において、線形領域および非線形領域で計算した。閉じこめポテンシャルはセルフコンシステントに計算した。(a)格子温度が低い場合に現れる非圧縮性帯領域において電子温度のピークあるいはディップが現れること、(b)非線形領域での電流分布の非対称性が顕著であることを明らかにした。 2.量子ホール系の非線形伝導における電子温度とホール電場の時間発展 リング上の量子ホール系において磁場を時間変化させると誘導電場がリングに沿って生じる。この誘導電場が(量子ホール効果のブレークダウンに伴う)負性微分抵抗の領域にあるとき一様定常状態が不安定になる。ここでは一様状態を仮定し時間発展を求めた。ホール電場および電流の自励振動が生じ、このとき電子温度も振動する。ホール電場と電子温度の2次元相空間における軌跡を明らかにした。 3.量子ホール細線の熱流体力学的不安定性 リング上の量子ホール系において、誘導電場が負性微分抵抗の領域にあり一様定常状態が不安定化する場合の空間変動を計算した。簡単のため細い系を考え、電流方向の変動のみを考慮した。一様定常状態からのゆらぎの一次のみを考慮して線形安定性解析を行った。ゆらぎの成長率は電流方向の波数がゼロからはずれたところに最大値をもつことが分かった。この結果は一様定常状態から周期的な空間変動の状態へ転移することを示唆している。
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