2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール分極配向制御による高分子系の新光機能創成の理論
Project/Area Number |
16540286
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石原 一 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (60273611)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安食 博志 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (60283735)
張 紀久夫 福井工業大学, 教養部, 教授 (60013489)
|
Keywords | ナノスケール分極配向構造 / 有機高分子 / フレンケル励起子 / 螺旋分子 / 環状分子 / 非線形光学応答 |
Research Abstract |
ナノスケールの分極配向が生み出す新しい光機能探索の第一歩として、本年度は以下の3種のモデルに対する光学応答の計算を行った。 1.誘起高分子や生体分子において天然に存在しやすい形態である螺旋状の分極配向を想定し、点双極子と近似した一軸性分子がその分極方向を螺旋状に変化させていく一次元鎖に閉じこめられたFrenkel励起子を考えた。この一次元鎖が束となって薄膜を形成するとして、この膜の線形、非線型応答を計算し、次の結果を得た。(1)量子化準位に対する線形応答の選択則は螺旋形状特有のものが現れ、螺旋ピッチや膜厚に従って変化する。(2)比較的薄い膜厚においても高次の量子化準位の寄与が大きく現れる。(3)螺旋ピッチと膜厚をパラメーターとして非線形応答の大きさと輻射緩和時間の速さが通常の場合より良く両立する条件を探索可能。(4)直線偏光のみの入射光においても四光波混合などの非線形信号が純粋な円偏光を持って生じる条件がある。 2.上述の薄膜がDBRなどの高反射率鏡と接している場合、或いはDBRに挟まれ微小共振器モードと結合している場合に内部電場へのフィードバック効果が強く働き、螺旋特有の光学応答がより強調される可能性を探った。その結果、(1)片側DBRの場合に反射光の偏光がナノ薄膜であってもほぼ完全に90度回転する条件がある。(2共振器モードと量子化準位の結合が螺旋周期や膜厚で様々に変化する。 3.光捕集型アンテナ分子に見られる環状分極配向を想定し、点双極子で近似された分子によるナノスケールの環状分子が複数個集まった場合の光学応答を調べている。光学的インプットが環状分子集合系に隣接した励起した点双極子である場合に光学的許容準位や非許容準位が励起されるが、その励起パターンを調べ、特に非許容準位を通して空間的に離れたプローブへ励起エネルギーを伝播できる可能性について検討している。
|