2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール分極配向制御による高分子系の新光機能創成の理論
Project/Area Number |
16540286
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
石原 一 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (60273611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安食 博志 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (60283735)
張 紀久夫 福井工業大学, 教養部, 教授 (60013489)
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Keywords | ナノスケール分極配向構造 / 有機高分子 / フレンケル励起子 / らせん分子 / 光マニピュレーション / 量子ドット |
Research Abstract |
ナノスケールの分極配向が生み出す新しい光機能探索として本年は次のような研究を行った. 1.ナノ分極配向構造を持つ分子系の光学応答の分布型ブラッグ共振器(DBR)による制御. この項目では分極がらせん状に配向した薄膜のモデルとDBRとの複合ナノ構造の光学特性を微視的非局所応答理論を用いて解析した.その結果,らせん周期によって励起子のエネルギー準位と共振器モードとの結合の選択則が変わることが分かり,らせんの周期が有効な自由度であることを示唆した。また,らせん型分極配向モデルの片側にDBRを配した系での光学応答を調べるため,30nm程度の厚さを持つ薄膜モデルおいて非局所性を考慮した理論によって計算を行い、特定の膜厚・周期に対して、x偏光のみの入射光がほぼy方向に偏光する現象を示した。このスイッチ現象はナノスケールな空間構造においても偏光を制御できる可能性を示唆し、今後の新しい光機能の応用として期待できる結果となった。 2.複数量子ドット間の力学的相互作用の偏光による操作の理論研究 ナノスケールな距離を置いて配置された複数量子ドットに,ドットの電子的準位に共鳴する光を入射した場合に,ドットに誘起される分極偏光の空間構造と,ドット間の力学的相互作用の関係について理論的に調べた.その結果,二つのドットを結ぶ直線に垂直に分極を誘起した場合と,平行に誘起した場合とで力の向きが変わり,2原子分子の結合状態,反結合状態に対応する新しいドット間の結合状態を誘起できることが分かった.また,光の入射方向を制御することで,非双極子的な分極パターンを励起でき,線幅の細い,すなわちピーク値の大きな力のスペクトルが得られることが分かった.これらの結果は,複数ドットに誘起する分極のナノ空間構造によりドット集団に対する光マニピュレーションが可能となることを示すものである.
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