2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540292
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Research Institution | OSAKA PREFECTURE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
萱沼 洋輔 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (80124569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 智 大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (80236588)
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Keywords | 非断熱遷移 / 量子ダイナミックス / 内殻励起 / 超高速過程 / Landau-Zener公式 / 量子ビット / Circuit QED / 2正孔束縛状態 |
Research Abstract |
(1)内殻励起子発光における非断熱過程と電子遍歴性 グラファイトの1s内殻励起子共鳴発光スペクトルに現れる長い裾構造は、内殻励起子状態における非対称格子緩和の途上から放出されるホットルミネッセンスであることが分かっている。われわれは、これまでに定式化されたクラスターモデルによる計算を越えて、励起電子の伝導帯内での遍歴性の効果まで取り入れた新しい定式化を行った。遍歴性の効果はグリーン関数法により取り込み、フォノン系を量子化した前量子力学計算を行い発光スペクトル、吸収スペクトルの両方の実験的形状を再現する結果を得た。ゆるく束縛された2p励起子状態に遷移した電子は、格子ひずみを伴いつつ2p-2s混成状態へ非断熱遷移し発光するというdynamical changeoverの概念を確立した。 (2)表面吸着原子のオージェ誘起脱離における2正孔ダイナミックス 内殻正孔のオージェ崩壊により出現した2正孔局在状態の結晶面への量子拡散と原子脱離の競合過程を記述するモデルにより、強い非断熱過程を取り込むための完全な量子力学計算手法を確立した。2正孔1原子の3体系のダイナミックス計算を実行し、パラメータ空間上での脱離量子収量の相図を描いた。その結果、2正孔束縛状態の存在が、脱離の促進に大きな役割を負っていることが分かった。 (3)Circuit QEDにおける非断熱遷移 ジョセフソン量子ビットとLC回路の結合によるCircuit QEDにおいて、量子ビットのLandau-Zener型駆動に対する遷移のダイナミックスを、解析的および数値的に調べた。遷移確率に関する厳密な結果を見出した。
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