2005 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ酸化金属チューブの成長に対する磁場効果-キラル構造の発現-
Project/Area Number |
16540299
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
横井 裕之 熊本大学, 工学部, 助教授 (50358305)
|
Keywords | ケイ酸化金属チューブ / 磁場誘起ヘリカル構造 / 二重らせん / ローレンツ力 / 磁気力 / 浸透圧 / その場観察 / ケミカルガーデン |
Research Abstract |
10wt.%ケイ酸化ナトリウム水溶液に沈めたFeCl_2やCoCl_2などの金属塩粒から成長するケイ酸化金属チューブが水平勾配磁場下でねじれた構造(キラル構造)を形成する現象について、昨年度、チューブ壁形成時に放出される陰イオンにローレンツ力が働いて成長端の周囲に渦流が生じるためにチューブがねじれるというモデルを立てて、実際に、成長端の磁場中その場観察によって成長端周囲の渦流を観測し、本モデルを裏づけた。その観察過程でチューブ成長端が時折2本のツメ状になる現象が見いだされた。 本年度は、成長端の磁場中その場顕微観察をするために、ボアスコープを高解像度USBカメラに接続し、チューブ成長端の移動に合わせて、ピント調整と撮影範囲の移動ができるようにした。実験では、水平室温ボアを持つ17T超伝導磁石を用いて、磁場2.2T、磁気力場(磁場と磁場勾配の積)45T^2/mの条件下でケイ酸化コバルトチューブの成長を観察した。その結果、チューブ成長端が磁場中で周期的に2本のツメ状に見えることが観察できた。この観察により、2本のツメが互いに絡み合って回りながら成長していると考えられた。そこで、6.5mmφのCCDカメラを用いてチューブの成長を正面から顕微観察したところ、実際に、ツメが絡み合いながらねじれ構造が形成されていく様子が観察された。したがって、ケイ酸化金属チューブに磁場誘起されたねじれ構造は、単に一本のチューブがねじれるのではなくて、2本のツメが絡み合って形成される「2重らせん」構造であることが確認された。無機物の膜形成において、このような2重らせん的成長が観察されたのは初めてである。2本のツメの形成は、ゼロ磁場での成長でも認められるので、磁場はツメの形成に関与しておらず、2本のツメが絡み合うのは、成長端から放出される陰イオンがローレンツ力を受けて渦流を形成するためであると考えられる。
|
Research Products
(1 results)