2006 Fiscal Year Annual Research Report
ソフト凝集物質における長距離電子相関と構造に関する理論的研究
Project/Area Number |
16540301
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
長谷川 正之 岩手大学, 工学部, 教授 (00052845)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西舘 数芽 岩手大学, 工学研究科, 助教授 (90250638)
家富 洋 新潟大学, 理学部, 教授 (20168090)
|
Keywords | グラファイト / カーボンナノチューブ / 密度汎関数理論 / 長距離電子相関 / ファンデルワールス相互作用 / 変形エネルギー / 構造欠陥 / 二次電池 |
Research Abstract |
グラファイト及びグラファイト系ナノ構造物質の構造とダイナミックスにおける長距離電子相関効果を明らかにするために、半経験的な計算理論を展開した。近年、このような物質に対しても密度汎関数理論に基づく計算が数多く行われたが、最も基本的なグラファイトの層間凝集エネルギーの定量的評価でも限界を露呈している。このような計算では、長距離電子相関に由来するファン・デル・ワールス相互作用が無視されていて、近距離における電子相関効果も適切に考慮されていないことがその原因である。本研究では、この困難の克服を目指して、第一原理計算を経験的なファン・デル・ワールス相互作用で補強するという半経験的な計算理論の再構築を図り、グラファイトに応用することによって理論の妥当性を確認した。また、この理論を拡張することによって、孤立した単層カーボンナノチューブの変形エネルギーに関する計算理論を構築して、圧力下における動径方向の変形に応用した。その予測は実験的に得られる結果と整合していて、計算理論の有効性が明らかになった。更に、この理論を応用してナノチューブの変形に伴う電子構造変化を調べ、半導体一絶縁体転移を引き起こす圧力を推定した。この結果は、カーボンナノチューブの形態と電子物性の関係を明らかにするための出発点となり、実用的有用性も期待される。 関連研究として、カーボンナノチューブの構造欠陥とリチュームイオン吸着との関係を第一原理計算分子動力学の手法を用いてシミュレートすることにより、カーボンナノチューブをリチュームニ次電池の電極として利用できる条件を検討した。また、半導体CdSにおける種々の欠陥生成・不純物添加に伴う電子構造変化について系統的な計算を行い、実用的に重要なP-ドーピングの可能性を模索した。
|
Research Products
(2 results)