2004 Fiscal Year Annual Research Report
時間変化する外場への量子力学的応答とそれに付随する協力現象の研究
Project/Area Number |
16540308
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮下 精二 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10143372)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 圭司 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90312983)
|
Keywords | 微小磁性体 / 量子ダイナミックス / 断熱変化 / 量子スピン系 / 電子スピン共鳴 / フェリ磁性 / スピンクロスオーバー |
Research Abstract |
微小磁性体において、量子ダイナミックスによる状態変化の起源である断熱変化がどのような機構からもたらされるのかについて研究した。特に、半奇数のスピンを持つV15など三角形を基本にもつ磁気クラスターにおいてジャロチンスキー・守谷(DM)相互作用によって生じる磁気エネルギー準位構造の磁場と格子の向きとの関係を詳しく調べた。また、格子構造の対称性から禁止されているようなDM相互作用が格子のゆらぎによって動的に生じる機構を詳しく調べ、その相互作用のもとでの電子スピン共鳴のあり方について研究をした。また、電子スピン共鳴の強度や共鳴幅の温度依存性を理論的に解析する数値計算法を開発し、実際の実験のデータとの比較、さらに強度の温度に関する非単調な依存性などを予言し、詳しい実験の解析を提案した。 フラストレートした格子構造での磁気秩序のあり方を密度行列繰り込み群の方法で調べて来ているが、特にフェリ磁性秩序の形態に関する質的な分類を行い、励起にギャップを伴うリーママチス型、古典系での非線形スピン配位に相当する型、さらにはシングレットで分離された型などを見出し、それら有限磁化をもつ系での量子磁性の新しい特徴を見出した。また、ハイスピン・ロースピン相転移における磁気相転移の機構をスピンクロスオーバー系や電荷移動のある系で調べ、縮退度による相転移や電荷移動による磁気状態混合の効果を明らかにした。さらに、それらの素に関する光照射の効果とそれに伴う系の励起・緩和ダイナミックスについても動力学の立場から研究を進めた。これらの研究に関する論文を発表するとともに、国際会議での招待講演や口頭発表、ポスター発表などを行った。
|