2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540312
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松本 宏一 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (10219496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 聡 金沢大学, 自然科学研究科, 講師 (60251914)
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Keywords | ヘリウム / 超流動 / 超音波 / エアロジェル / 相転移 |
Research Abstract |
平成17年度はエアロジェル中の液体ヘリウム3の超流動転移を観測するための銅一段核断熱冷凍機が完成した。超音波実験装置の改良と性能確認を行った。また、昨年度に引き続きヘリウム4を用いた実験を継続した。これらについての実績と成果の概要を以下に示す。 1.核断熱消磁装置の建設と性能試験 超低温領域での実験を行うために核断熱冷凍機の整備を進めた。その結果、有効モル数90モルの大型の核断熱冷凍機が完成した。引き続き冷凍試験を行いほぼ設計通りの比熱を持つこと、数週間にわたり実験に必要な超低温状態に保つことができること、予冷時間などほぼ設計通りの運転ができることなどを確認した。 2.試料セルの作製と超音波測定系の試験 昨年度設計準備した圧力の低温部でその場観測が可能な超音波実験セルを作製し、その基本試験を行った。大きな減衰が予想される液体ヘリウム3を大きなエネルギーを入射できない超低温で測定するために十分な感度を持つ測定系が完成した。また、従来のパルスエコー法より広帯域化が容易な定在波共鳴法の試験も行った。 3.エアロジェル中のヘリウム4の実験 昨年度のヘリウム3クライオスタットを用いた実験を継続し、エアロジェル中のヘリウム4の研究をさらに進めた。今年度はへリウム4の相図を様々な空孔率のエアロジェルについて確立した。ヘリウムの結晶がエアロジェル中で生成される過程や、固体および固体・液体界面の音響的性質を観測し、結晶成長や固体中の空孔や転位がエアロジェルによりどのように影響を受けるかを明らかにした。この実験により新たに発見された現象について論文を2件発表し、国際会議(LT24)での発表を行った。
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