2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540312
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松本 宏一 金沢大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (10219496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 聡 金沢大学, 自然科学研究科, 講師 (60251914)
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Keywords | ヘリウム / 超流動 / 超音波 / エアロジェル / 相転移 |
Research Abstract |
平成18年度は昨年度に引き続きヘリウム4を用いた実験を継続し、エアロジェル中のヘリウム4は常流動-超流動転移において量子相転移を示さないことが明らかになった。しかし、超流動相において、超音波減衰に新奇な現象を観測した。一方、エアロジェル中の液体ヘリウム3の研究においては超流動転移を観測するための銅一段核断熱冷凍機が完成し、超低温用超音波実験セルの設計、製作が完了した。この両者を組み合わせた実験が現在進行中である。これらについての実績と成果の概要を以下に示す。 1.エアロジェル中のヘリウム4の実験 ヘリウム4の相図を様々な空孔率のエアロジェルについて確立した。空孔率92%までのエアロジェル中では液体ヘリウム4は超流動転移は抑制されるが量子相転移を示さないことが分かった。また、ヘリウムの結晶がエアロジェル中で生成される過程や、固体および固体・液体界面の音響的性質を観測し、エアロジェルの結晶成長や固体中の空孔や転位及ぼす効果を明らかにした。さらに、超流動相において、特異な超音波減衰の増大を観測し、これと新たな集団励起モードとの関係にっいて国際会議(QFS2006)で発表した。 2.液体ヘリウム3での実験 超低温領域での実験を行うために核断熱冷凍機の整備を進め、昨年度までに有効モル数90モルの大型の核断熱冷凍機が完成した。本年度は超音波実験に対応するように、高周波同軸線の設置等の改修を行った。また、希釈冷凍機の循環系に不都合があり改良した。 ヘリウムの試料セルの作製については、低温部での圧力その場観測が可能な超音波実験セルを作製し、その基本試験を行った。特に、バルクヘリウムとの違いを明確にするために、ジェルとバルクの両方の試料を同じでセルで観測出来るようにした。現在、このセルを用いた実験が進行中である。
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