2005 Fiscal Year Annual Research Report
高温超伝導体におけるインコヒーレント局所構造のNMRによる検出
Project/Area Number |
16540328
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
後藤 貴行 上智大学, 理工学部, 助教授 (90215492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 栄男 理化学研究所, 先端中間子研究室, 協力研究員 (40327862)
中島 理 国立秋田工業高等専門学校, 自然科学系, 助教授 (90261544)
大沢 明 上智大学, 理工学部, 助手 (40370366)
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Keywords | ランタン系高温超伝導体 / 1 / 8異常 / NMR |
Research Abstract |
La系高温超伝導体La_<2^^-x>M_xCuO_4(M=Sr,Ba)では低温で、高温正方晶(HTT)から中間斜方晶(OMT)、LBCOの場合にはさらに低温正方晶(TLT)へと構造相転移する。これらはCuO_2面のバクリング(CuO_6八面体の傾き)によるものであり、特にTLT相への転移は電荷のストライプ秩序及び超伝導の異常な抑止の原因になっていると言われている。一方、逆にストライプ秩序が高温超伝導の発現機構であるという理論もあり、興味が持たれている。このバクリングパターンには、X線回折などの手法で観測される平均構造とは異なる局所的なインコヒーレント構造が隠れているという実験結果が、最近、繰り返し報告されているが反論も多く未だ一致をみていない。我々はこの局所構造を探索するため純良な単結晶を用い、局所電場勾配(結晶場)に敏感なNMR測定を行って来た。NMRは、特に散乱実験では検出できない、空間的にインコヒーレントな構造も捉えることができることが特徴である 本年度の研究内容は以下の二点である。 1)LBCO(x=0.08)、LSCO(x=0.08)の試料において前者のみにおいてTLT局所構造の存在を見出した。 この組成ではマクロスコピックにはTLT構造は存在しないことが知られている。しかし、NMRによる局所構造探索によって、LBCOにのみ、広範囲の温度域でTLT局所構造が存在することがわかった。これは、熱伝導がLBCOにおいて低温で著しく阻害される(局所構造によるフォノン散乱のため)という、小池(東北大)の結果とコンシステントである。 2)LSCO(x=0.12)の試料においてTLT局所構造の存在を見出した。 これまで、LSCOではマクロなTLT構造は全く存在しないと言われて来た。しかし、深瀬らは低温で弾性率の異常な増大を報告しており、構造のゆらぎの存在が示唆されて来た。本研究によって、空間インコヒーレントなTLT構造が存在しており、これが超伝導阻害の原因であることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)