2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540330
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石田 浩 日本大学, 文理学部, 教授 (60184537)
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Keywords | 遷移金属酸化物 / 電子相関 / 強相関電子 / 密度汎関数法 / 動的有効場理論 / 量子モンテカルロ法 / エムベッディッドGreen関数法 / FLAPW法 |
Research Abstract |
遷移金属酸化物はバンド理論が破綻する強相関系の代表であり,局在d電子は,金属絶縁体転移・超伝導など多彩な現象を示す。本研究の目的は,遷移金属酸化物表面における強相関電子の電子構造を第一原理の計算手法により解明することである。平成16年度は,ユーリッヒ研究センターのLiebsch博士と共同で以下の研究を行った。 1.ペロブスカイト型SrVO_3表面の電子構造 申請時にはルチル構造のVO_2を最初に計算する計画であったが,実験との比較・計算の容易性を考えて,まずペロブスカイト型SrVO_3表面を選んだ。表面再構成のない理想表面を考えて,半無限SrVO_3(001)表面の電子構造を,エムベッディッドGreen関数法とFLAPW法によりLDAの範囲で計算した。Vが表面第一層である場合と,Srが第一層の場合でVの(3d)^1電子状態が大きく変わることが分った。引き続き,得られたVの3d状態密度を用いて,量子モンテカルロ-動的有効場理論(QMC-DMFT)計算を行い,表面における強相関電子の電子構造を明らかにする予定である。 2.Na_<0.3>CoO_2の電子構造 表面では系の対称性が下がるため,5個の全d軌道を取り入れた計算が必要になる可能性がある。そこでLichtenstein博士によって開発されたQMC-DMFTの計算プログラムを多軌道化し,MPIにより並列化した。この計算プログラムを用いて,超伝導との関連でフェルミ面の形状が注目されている2次元Na_<0.3>CoO_2の電子構造を調べた。Coのt_<2g>軌道は,六方晶の対称性により,a_g軌道とe_g'2軌道に分裂する。電子相関U及びJをパラメータとして,QMC-DMFT計算により両軌道の電子占有数を調べた。その結果,e_g'バンドのホール的なフェルミ面が安定であることが分った。
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Research Products
(2 results)