2004 Fiscal Year Annual Research Report
ノンコリニア型強磁性金属に現れる特異な異常ホール効果の起源の解明
Project/Area Number |
16540333
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Research Institution | Daido Institute of Technology |
Principal Investigator |
原科 浩 大同工業大学, 教養部, 助教授 (80293687)
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Keywords | 異常ホール効果 / キャント磁気構造 |
Research Abstract |
ノンコリニアな磁気構造をもつ強磁性金属に現れる,異常ホール効果の特異な振る舞いの起源について,CrTe_<1-x>Sb_x系を用いて研究を進めてきた。CrTe_<1-x>Sb_xはコリニアな強磁性または反強磁性構造にオーダーした後,さらに低温でキャントした磁気構造へと転移する。焼結体試料で測定されたホール抵抗率ρ_Hには,コリニアな強磁性構造への転移温度以下で符号変化を含む非単調な温度依存性が観測されており,キャント構造への転移との関連が示唆される。本年度の研究成果は次のとおりである。 1.x=0.3〜0.5の焼結体試料を用い,室温から低温10Kまで電気抵抗率ρを測定した。x=0.3と0.4の試料については,キャント構造へと転移を起こす温度付近にρの温度依存性の勾配に小さな変化が観測された。測定したすべての試料について,ρは低温に向かって単調に減少する金属的な温度依存性を示し,ホール抵抗率ρ_Hで見られたような複雑な温度依存性は観測されなかった。焼結体の実験なので断言はできないが,ρ_Hで観測された複雑な温度変化は,電気抵抗率ρではなく,非対角伝導率σ_<xy>の温度依存性を反映したものである可能性が高い。 2.x=0.3,0.4の粉末試料を用い中性子回折実験を行った。磁気ブラッグ反射の温度依存性は,従来報告されている磁気相図とほぼコンシステントである。100反射強度から見積もられる強磁性モーメントMの大きさの温度依存性には,キャント構造への転移温度付近で顕著な変化はなく,ρ_Hの複雑な温度依存性はMの温度依存性によるものではないと考えられる。さらに解析を進め,磁気モーメントの大きさとキャント角の温度依存性を用いて,モデル計算を実施する。 3.主にx=0.3,0.4の組成について単結晶作成を試み,ほぼ成長条件を特定した。来年度は良質の単結晶を作成し磁気輸送特性の測定を行う。
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Research Products
(1 results)