2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540338
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
佐野 理 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究院, 教授 (80126292)
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Keywords | 粒状体 / 空洞崩壊 / 流動化 / 砂漣 / 渦輪 / 固液相転移 / 曲げ波 / メソスコピック |
Research Abstract |
1.流れによる空洞崩壊過程の研究:粒状体中に空洞のような不均一な領域があると,そこに流れが集中して力学的な平衡状態が壊れ,流動化する可能性がある.とくに空洞の配置によっては,この領域の成長速度が増加し,また大規模に成長する.本研究では,その素過程を調べるために2つの空洞の中心間距離と流れに対する角度を変化させた実験を行い,空洞崩壊の進行速度や崩壊領域の面積を定量的に調べた.これらは土砂崩れのような自然災害の発生機構の解明や地下水による汚染物質の異常拡散の予測に応用可能であり,国内外の研究者との研究協力が始まっている. 2.流れによる粒状体境界面の変形:粒状体界面の粒子が流れによって運ばれ,巨視的な界面が変形する過程を実験的に調べた.とくに,流れ場と界面形状の時間変化を定量的に明らかにした.これらは,乾燥地域の拡大や海浜浸食などに伴う環東予測に応用が期待される. 3.渦輪の粒状体の表面への衝突:渦輪は運動量やエネルギーを携えながら粒子のように個性を保ったまま移動する流体運動であるが,これが粒状体の表面に衝突すると,渦輪の崩壊や界面の変形が起こる.本年度は,渦輪の大きさを一定に保ち,その循環の強さと界面への接近過程の関係を定量的に観測した.渦輪を崩壊させる技術として,あるいはまた海底堆積物の撹拌による生物活性化技術などへの応用が期待される. 4.振動による粒状体のパターン形成:粒状体薄層を鉛直に加振すると,条件によっては層全体に弾性体の曲げ波や流体的なさざ波が観測される.これはエネルギー散逸の大きな系でありながら粒子の配置変化と排除体積効果によって長距離秩序の現れる特異な挙動であり,ミクロな粒子間相互作用とマクロな流動を結びつけるメソスコピック物理構築の鍵となる現象として注目されている. 以上の成果は,国内外の関連学会で発表され,3編の原著論文および5編の研究所報で公表された.
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