2004 Fiscal Year Annual Research Report
複雑ネットワークのダイナミクスに基づく地震現象の統計力学的研究
Project/Area Number |
16540350
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鈴木 徳一 日本大学, 理工学部, 助教授 (60246824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 純義 筑波大学, 物理学系, 助教授 (70184215)
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Keywords | 地震 / 複雑系 / 複雑ネットワーク / 統計力学 / 時系列解析 / スケール不変性 / スモールワールド / 自然時間 |
Research Abstract |
研究代表者及び分担者は、平成16年6月、ポーランドにおける国際会議ICCS2004に研究発表及び討論のため参加し、科研費研究課題である地震のネットワークのトポロジカルな性質の研究成果の一部について発表した。地震のネットワークがスケールフリーな構造を持っていることをグラフの結合度分布の解析により示し、経路長、クラスタリング係数を解析することによりネットワークがスモールワールド的構造をもち、強くクラスター化していることを報告し、実のある討論をすることが出来た。 研究分担者は平成16年7月アテネ大学物理学科に電磁的地震シグナル(SES)の研究の第一人者であるVarotsos教授を訪ね、地震予兆に関連するSESの複雑時系列解析に関する研究討論を行った。地震現象を臨界現象の統計力学的立場からとらえることにより、SESのもつ「臨界減速」「スケール消滅」などの顕著な特徴が「自然時間」を用いることにより如何に普遍的性質をあらわしうるかを議論した。 研究分代表者及び分担者は、平成16年度中に科研費研究課題に関する研究論文を3編発表した。また、平成17年度に2つの論文が専門誌に掲載されることが決定している。その内容は、複雑ネットワークの視点から見たインターネットの混雑状況と地震の時系列パターンとの類似性を研究したもの、引き続いて起こる地震の時間間隔がZipf-Mandelbrot分布に従うことを示したもの、地震の複雑ネットワークがsmall-world的な構造を持ち強くクラスター化されていることを示したもの、地震の向き付けされた複雑ネットワークのトポロジカルな性質の解析によって地震の周期分布及びpath length分布がスケールフリーであることを示したものである。これらの成果により地震現象がどのような複雑ネットワーク構造を持っているかが明らかになった。
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