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2006 Fiscal Year Annual Research Report

カオスによる輸送現象の研究

Research Project

Project/Area Number 16540351
Research InstitutionSaga University

Principal Investigator

富永 広貴  佐賀大学, 医学部, 助教授 (10258387)

Keywordsカオス / 輸送現象 / 射影演算子法 / 記憶関数 / 揺動力 / 時間相関
Research Abstract

本研究は、カオスや乱流が存在するとき、散逸構造の下ではどのような物理過程が存在しているのかという問題、すなわち、エネルギー散逸,熱の発生,エントロピー生成などの熱統計力学的なrealisticな輸送現象としての側面から力学系を観測する為の基礎となる研究である。具体的にはカオスや乱流を表わす非線形決定論的方程式に射影演算子を適用して、揺動力を含む線形確率方程式を導出する。そこではカオスによるランダムな揺らぎを表す揺動力と記憶を表す記憶関数が定義される。そして、カオス摩擦係数などの輸送係数は、揺動力の時間相関関数より得られる.カナスや乱流の数値シュミレーションを通してカオス輸送現象の存在を明らかにし、それに伴う輸送係数を具体的に求め、その物理的な意味を解明するというのがこの研究の目的であるが、現在のところ典型的なカオス力学系であるDuffing系(非自律散逸系),エノン-ハイレス系(保存力学系),レスラー系とローレンツ系(自律散逸系、を研究対象として解析を行っている。
理論的には、揺動力の非線形的な時間発展を直接計算する代わりに、時間発展が直接計算できる非線形力を新たに定義し、その時間相関関数と記憶関数との関係からカオス誘導摩擦係数を導出することができる。この非線形力の時間相関関数と振動数行列によりマクロな力学変数の持つ時間相関関数の構造を厳密に記述することができる事を見いだして、Duffing系,エノン-ハイレス系に関しては学会発表等で報告してきた。また、エノン-ハイレス系に関しては論文でも報告した。
更に、この一年の成果として特筆すべきは、マクロ変数のパワースペクトルを記憶関数のFourier-Laplace変換である記憶関数スペクトルを使って記述することに成功し、カオスによってマクロ変数のパワースペクトルに現れるピーク構造を非対称Lorentz型ピークとして、記憶関数スペクトルからその位置と半値幅を予測する事ができるようになった事である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2006

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] The Memory Function and Chaos-Induced Friction in the Chaotic Henon-Heiles System2006

    • Author(s)
      R.Ishizaki, H.Mori, H.Tominaga et al.
    • Journal Title

      Progress of Theoretical Physics Vol.116

      Pages: 1051-1067

URL: 

Published: 2008-05-08   Modified: 2016-04-21  

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