2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16540354
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
筒井 泉 High Energy Accelerator Research Organization, 素粒子原子核研究所, 准教授 (10262106)
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Keywords | 特異点 / 可解系 / 量子エンタングルメント / 量子井戸 / 粒子の統計性 / ゲーム理論 / Nash平衡 / 非局所相関 |
Research Abstract |
本研究課題のプロジェクト最終年度にあたる19年度では、前年度から引き続き、(1)量子特異点のある多粒子系の統計的性質、及び(2)量子ゲーム理論の一般論の構築と量子戦略における量子纏れの効果、の2つのトピックについて、綜合的な観点から発展研究を行った。 まず(1)の量子特異点系の統計的性質については、前年度までに量子井戸を用いて得た結果の一般性を吟味するため、特異点のある調和振動子系での分析を引き続き行なった。その結果、量子井戸の場合に類似した粒子数と量子圧、温度依存性、スケーリング則等を精密に確立するとともに、これらが粒子の(ボソンかフェルミオンかによる)統計性に特徴的な性質を示すことを発見した。さらに、特異ポテンシャルと可解系で近年興味が持たれている広義のCalogero系とYang-Mills系を考察し、量子特異点の性質と解の挙動との関係について新しい知見を得ることができた。この事実は、従来、有限次元のみで考察された量子特異点が、無限自由度を持つ場の理論においても非自明な効果をもたらす物理的存在であることを示すものである。(これらの結果については現在、報告論文を準備中である。) 一方、(2)については、前年度に確立したSchmidt分解に基づく量子ゲーム理論を用いて、一般の対称ゲームの量子Nash平衡解を得るとともに、量子ゲームの戦略の安定性を詳細に分類した。さらに量子縺れに関する派生研究として、中間子の対崩壊現象を用いて量子縺れ特有の非局所相関を検証する理論的枠組を考察した。その結果、従来困難であると考えられていた問題が部分的に回避可能であり、現在の加速器実験(KEK)においても、限定された範囲の非局所相関の検証が可能であることが判明した。
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Research Products
(4 results)