2004 Fiscal Year Annual Research Report
原子気体のBECにおける新しい量子ダイナミクスの実験的研究
Project/Area Number |
16540357
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
熊倉 光孝 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30324601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 義朗 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40226907)
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Keywords | レーザー冷却 / ボース・アインシュタイン凝縮 / 磁気トラップ / 光双極子力 / 光トラップ / 量子渦 / 重力 / 超流動 |
Research Abstract |
磁気トラップ中に生成、捕捉した^<87>Rb原子(^2S_<1/2>F=2,m=2)のボース・アインシュタイン凝縮体(BEC)を用いて、トラップ磁場の反転によるトポロジカルな方法で、高次量子渦(価数4)の生成に成功した。渦生成時の磁場反転は最低磁場を0.4Gから-0.4Gに約3msで変化させるもので、Na原子の場合に比べて狭い実験条件でのみ生成が可能であることが判明した。また渦生成には大きな不安定性があることや、渦を観測可能なBECの保持時間が2ms程度とNaに比べて非常に短いことが明らかとなった。 これらの原因の一つとしては、反転後の磁場が対称軸方向にはトラップとして働かず、BECに伸長を引き起こす点が挙げられる。そこでレーザー光による光トラップを新たに磁気トラップと併用し、磁場反転後のBECの伸長を抑制することを試みた。光トラップは波長852nm、パワー20mW程度のレーザーを約20μmのビーム径に集光して磁場の対称軸に垂直にトラップ中心に入射して構成した。この新たなトラップでBECを生成し、磁場反転後もBECの形状変化なしに100ms程度の寿命で長時間保持することに成功した。また、磁場反転法により磁気トラップと同様に量子渦が生成されることも確認したが、渦を観測可能な保持時間は未だ2ms程度と短いものであった。 そこで、渦生成の不安定さなどのもう一つの原因として考えられる重力の影響にっいても検討し、新たに光双極子力を用いて重力を補償することを試みた。この重力補償には波長532nm、パワー約0.9Wのレーザーをビーム径0.1mm程度に集光し、BECの鉛直下方に配置した。この結果、未だ量子渦の保持時間は短いが、これまでの渦生成における不安定性を大きく改善し、毎回、BEC中心付近に渦を安定に生成することが可能となり、今後の応用可能性を大きく広げることができた。
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