2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ及びマイクロカプセル系における分散型複合緩和現象の研究
Project/Area Number |
16540366
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山本 隆夫 群馬大学, 工学部, 教授 (80200814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土橋 敏明 群馬大学, 工学部, 教授 (30155626)
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Keywords | ハイドロゲルマイクロカプセル / S字型膨潤ダイナミックス / 液晶ゲル / 自己組織化マイクロカプセル / 膨潤収縮マイクロカプセル / 非平衡熱力学 / 遅延時間 / 溶媒交換型緩和 |
Research Abstract |
(1)ハイドロゲルマイクロカプセルの緩和に伴う膨潤・収縮ダイナミックスを、ゲルの弾性とゲル分子の電離に伴う静電エネルギーとを記述するランダウ自由エネルギーと水酸イオンのゲル壁中の輸送現象ダイナミックスを組み合わせて一般的に記述する方程式を考案した。この方程式は非線形で解析が困難であるが、カプセルのサイズとカプセル壁の電荷を力学変数にえらび、ランダウ自由エネルギーをそれぞれの一次式の積で近似することにより精度よくダイナミックスが記述できることを見いだした。これにより、S字型の時間変化をする緩和現象の存在とそのメカニズムを理解することができた。 (2)棒状分子であるカードランおよびDNAの溶液を透析膜チューブ内に閉じこめたものを金属塩溶液に浸すことで液晶ゲルが同心円状に形成されるメカニズムについて現象論的な知見を得た。液晶状態の形成メカニズムは透析膜近傍の棒状分子の透析膜による配向化と外部溶媒から流入した金属イオンによる分子の配向状態の固定化であるとし、そのダイナミックスを分離した溶液の均一相への緩和ダイナミックスとして記述した。この現象解析より、緩和現象により自己組織化するカプセルという新しい視点を得ることができた。 (3)カプセルサイズが変化するマイクロカプセル(膨潤収縮マイクロカプセル)による物質の流入放出現象を記述する一般的な方程式の枠組みを非平衡熱力学に基づき構築した。 (4)溶媒交換を伴うマイクロカプセルゲルから放出現象では、遅延時間をもつマイクロカプセルの体積変化が生じることがある。溶媒交換を粘性流体の移動による緩和過程ととらえる溶媒交換型緩和という考え方を導入し、その考えに基づき遅延時間の生じる理由とそのカプセルサイズ依存性を説明できることを示した。さらに、(3)の結果に基づく解析で体積変化を伴う放出現象について数理的な構造を明らかにした。
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Research Products
(2 results)