2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ及びマイクロカプセル系における分散型複合緩和現象の研究
Project/Area Number |
16540366
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山本 隆夫 群馬大学, 工学部, 教授 (80200814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土橋 敏明 群馬大学, 工学部, 教授 (30155626)
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Keywords | 非平衡熱力学 / 放出初期挙動 / 普遍性 / 二成分芯物質 / ラグタイム / ゼラチンゲルマイクロカプセル / DNA液晶ゲルビーズ / 発がん物質除去 |
Research Abstract |
(1)放出物-壁膜-分散媒の三成分系よりなるマイクロカプセルの放出挙動を、ダイナミックスを非平衡熱力学で、熱関数をFlory-Huggins理論で取り扱い、従来の理論では取り扱えなかった放出初期の挙動の理論を構築し、初期挙動に普遍性があることを示した。初期放出挙動について、壁膜をポリウレアウレタンで作成し、放出物をDOP、分散媒をメタノールとした系で確認した。 (2)芯物質が二種類の物質から成るマイクロカプセル系からの放出挙動を、非平衡熱力学で解析した。放出挙動の二成分の成分比は必ずしも仕込み段階の成分比で一様に出るとは限らないことがわかった。この見方でSatoらの論文(J.Memb.Sci.Vol.213p.25 2003)を再解析した結果、芯物質であるDOPとアゾ染料の放出挙動が大きくずれていることがわかった。これにより、アゾ染料を用いた放出挙動のトレースには問題があり、複雑な放出挙動は見かけの挙動である可能性があることが示唆され、今後、緩和過程の遷移については慎重な解析が必要であることが分かった。 (3)溶媒交換により膨潤、収縮するマイクロカプセルを作成し、その膨潤挙動を解析した。膨潤開始までのラグタイムと温度の関係をしらべアレニウス型の振る舞いを得た。あわせて、この振る舞いを説明する理論を考案した。放出挙動の制御法の一つとしてラグタイム制御の可能性を見いだした。 (4)ゼラチンを紫外線架橋することで、膨潤・融解するマイクロカプセルを作成し、その膨潤・融解挙動を説明する理論を構築し、必要な温度で融解するカプセルのデザインの指針をえた。 (5)マイクロカプセルの放出挙動の理論を用いてDNA液晶ゲルビーズによるアクリジンオレンジの吸着挙動を解析した。この吸着挙動は、ビーズからの"逆放出"ととらえることもできることがわかった。さらに、DNA液晶ゲルビーズのマイクロカプセル化をおこなうことで大量の発がん物質を少量のDNAで除去できる可能性がでてきた。
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Research Products
(5 results)